妬物語

三戸翔馬

第1話 

むかしむかし、あるところに仲睦まじい老夫婦がいました。彼らは近所でも有名なおしどり夫婦でした。ふたりは子宝に恵まれず、生涯を二人きりで過ごすことを決めていました。そんな二人をかわいそうだという人もいましたが、二人はそんな人生にとても満足していました。ある日、おばあさんは川に洗濯へ、おじいさんは山に竹を取りに行きました。おばあさんが川につくと上流からどんぶらこどんぶらこ大きい桃が流れてきました。これは伝承にある桃太郎だとおばあちゃんは思いました。おばあさんはおじいさんと二人の今の生活を壊したくありませんでした。桃太郎の存在が自分たちの生活を変えてしまうことを恐れ、流れてくる桃を見逃しました。

その晩、山に行ったはずのおじいさんが光る赤子を連れて帰りました。おじいさんはとてもうれしそうに山での出来事を話してくれました。おじいさんは竹を取っていたところ、一本のひかる竹を見つけたそうです。そして、その竹を割ってみると中からなんと光る赤子が出てきたのです。天からの授かりものだと思ったおじいさんはそのまま家につれて帰ってきたのだそうです。興奮気味に話すおじいさんとは対照的におばあさんは焦りました。私の幸せが崩れていく音がしたからです。どうにかしてこの幸せを守らないといけないとおばあちゃんは決意し、行動を起こすのです。

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妬物語 三戸翔馬 @mito_syouma

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