第16話「不穏な気配」
「お前らじゃ勝負にならんし、いても邪魔だ。俺とニーザが戦っている間にとっとと帰れ。」
「…………っ、分かった、すまない。」
俺の放つ異様な気配にマグジールは一瞬気圧されたが、すぐに俺の言葉を聞き入れ、エドワード達に撤退の指示を出した。
エドワードは何か言おうとしたものの、戦力差を痛感してか、何も言わずにマグジールに続いて去っていく。
後の2人も同様だ。
ようやくマグジール達がいなくなったので、それを気にせず戦える。
だが、サーダリア森林に来た時から気になっていた事があるので、俺は隣にやってきたニーザに聞くことにした。
「ニーザ、確認なんだが……、」
「何かしら?」
「神ってのは暴走魔族みたいに暴走させたり出来るのか?」
「少なくともアタシ達、高位魔族じゃ暴走させるのは無理ね。零落してるとはいえ、あの状態でも純粋種の神だもの。出来るとしたらロキみたいに零落もしてない力の強い神族とか、1と6の世界の住人……、その辺りよ。自分で暴走するようなタイプとも思えないしね……。」
「まあ、そうだよな……。」
「アルシア。なんとか暴走状態を解除させようとか考えるのだけは止めなさいね?殺す気でかからなければ、アタシ達が殺されるだけよ。」
どうやら考えは気付かれていたらしい。
「分かってるよ。」と返し、少しだけ苛立ちを漏らす。
「……アレだけ言ってもその辺で隠れてる連中にはそういうレベルの相手だっていうのは伝わりきってないらしいがな。」
探知魔法で探る限り、マグジール達は撤退しきっていない。
位置的には遺跡の敷地の外へ少し出た所でこちらを伺っているようだ。
ニーザも当然の様に気付いており、呆れたように溜め息を漏らした。
「……ほっときなさいよ。アタシもインドラ相手にあっちを庇いながら戦うなんて無理よ、さすがに。」
「途中で帰るか、くたばってくれる事を祈るかね。」
「そうね。何となくだけど、アイツらからアンタに対して、嫌な悪意しか感じなかったから。」
そう返しながらニーザは
ニーザの言う通り、マグジール達は俺に言わないだけでまだ何かを隠しているのだろう。
恐らくだが、監視とは別の……。
しかし、それを探ってる暇は無い。
インドラが手にした雷をこちらに向けようとしていたからだ。
バフォロスを構え直し、ニーザに声を掛ける。
「前衛は俺がやる。ニーザは援護を頼んだ。」
「分かった。でも無理はしないで、アルシア。」
「ああ、来るぞ!」
再び白雷が放たれ、俺とニーザは頷き合ってそれを回避し、空に悠然と佇む老神へと迫った。
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