かけまくもかしこき魂迷譚
長宗我部芳親
[神名の由来とされている学説]
第四話より 神名の由来となる学説
0.心臓の神"
(1)ククルは心(ココロ)が訛によって転じた説と、(2)多くの神々を括って即ち統治するといった意味の説がある。(1)前者の説でいうとなぜこの神の言葉だけが訛っているのかといえば、当初巨人の神は心臓の神のみしか存在していなかったため、古い時代の方言の影響を受けており、かつ他の神々は後世になって生み出されたという推測がされている。(2)後者の説では統治すると行った意味合いからシャーマン的な性格があると考えられている。大神ということから位が高い神とされている。
1.おでこの神"大忽加神"(おおぬかのかみ).
(1)オオの「大」を美称、忽加を古語である額の当て字とし偉大な額の神とする説、(2)もしくはオオを年老いたという意味、忽加を糠をすることで年老いた糠を作る神という一種とする説があるが、(2)後者の方はこの地で伝えられている巨人の伝承とつながりがないために近年になって否定されつつある。
2.目の神"香芽神"(かぐめのかみ)
(1)カグを輝くもの、カグは、耀う・火光に関連していると考えられ、火が燃え揺れることを表すとする。(2)輝くという意味も考えられるが、輝くという言葉はの上代ではカカヤクといった発音であったために異なるのではないかという批判がある。(3)しかし、これらの名前は平安時代初頭に名前に漢字が当てられたという可能性があるため、また香ぐ、良い匂いがするという意味もあると考えられている。巨人の伝承のつながりから芽は目であることが有力視されており、(1)(2)の意味を整理すると燃え盛る目の神、輝く目の神という特別な目の紙とする説が浮上している。(3)ではこの神は池に鎮守していることから現在ではただの当て字に過ぎないという風潮が強い。
3.鼻の神"
花は鼻と、見は御の美称とし、することで偉大なる鼻の神とする説がある。またこの神に美称がついていることとして鼻と花は語源が同じである上、これら2つの語源はエネルギーが先端に宿るという考えから生まれているとされていることから当時エネルギーに関する信仰が強く行われていたとされる。
4.耳の神"
耳は古代の信仰で神は人のように小さな音を立てるという信仰があり、さらに鳥は霊力の持った動物であるとし神は鳥を用いてその音を立てていたと考える説と巨人の耳に対して人々が出した音が鳥になって音が届いていくという説が考えられている。また鳥型の神としてそれらの鳥を司っているとする説がある。
5.口の神"
(1)「闇」は暗い空間、フツは剣で何かが切れる音、忍神は沢山の神とし、これら剣のように鋭いものが沢山溢れている暗い空間即ち、暗い洞窟の中に広がる多くの尖岩を神格化したものという説がある。(2)他にクラは谷の意とする解釈があるが、当該地域には谷が存在していないためにあまり有力視されていない。
6.首の神"
(1)いわさかを当て字として考え、原始的祭祀場として神を祭るための神聖な場所である磐境とする説、(2)岩の坂とする説、(3)いしを美し(いし)とした美しい坂とする説の3つが挙げられている。現在最も有力視されているのが(1)であり、古代人は坂や山がある地点を境界とみなし、そこを祭祀場にしたということから(2)の説と原義は同じである。(3)の説だが、この神の読み方は文献で伝わっていないことから磐を別読みをしている。
7.腕の神"
御はを美称、枝という文字が使われているが、この字には股という意味があり、後世になって鎮守の森に広がる木々という意味合いを含めるためにこの文字が当て字にされたと考えられている。諸ということからも複数の紙が存在していることがわかる。古代での股は分かれ目という意味であり、四肢のことも指していた。上は腕を指しているとされる。
8.腹の神"
(1)シキを「頻」で繁茂の意、ヒバラを日原と取ることで茂った日のさす原とする説、(2)また、敷を「敷く(一面に広がる)」と捉えることで一面に広がる日原とする説もある。(3)シキヒを敷き
9.背中の神"
(1)地域に伝わる伝承では国が巨人の背中に守られているとあることから、上代語の
10.尻の神"
志那度地下洞は風が強い洞窟であることからシナト(風な処)とする説が有力視されている。この神が祭神として祀られている神社は洞窟の入口に位置しており、上代に大きな噴火のあった地層が発見されている。洞窟で外に向かって吹かれる風を屁と捉えてを巨人の尻と解釈したとされる。
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