Fall in fall
鮮やかな彩に魅了され
金木犀の馥郁が心を満たし
微かに体温を溶かした夜風が君の寝顔を撫でる隣で
星と望月の内緒話が僕を深い眠りに誘う
あまりにも沢山で
少しだけもの哀しい置き土産を残して秋が去る頃
僕の血汐の
君の哀愁は今しがた募りはじめたばかりなのに
僕の眼に映る初霜の
すっと透き通った記憶の中に
まだ煌々と燃える恋情を抱えたちいさな手
夕映えを照り返して遊ぶ小鳥
そのぬくもりと純粋さの放つ
今も誰かの心を澄みわたらせているのかも知れない
秋に取り憑かれた僕は
秋ゆえの寂しさと
秋ゆえの恍惚の感情に
まだ未来を掴みあぐねているこの手で
迷わずそっと君の冷たい手を包んだ
秋に舞い落ちる葉は
秋ゆえの美しさと
秋ゆえの儚さで
刹那にも足らないその散る瞬間を
誇らしげに全うしたのだ
月は
秋だから
円いから
誰かと見ているから
綺麗というわけじゃないんだね
綺麗にみえる人にはずっと
月が綺麗でいてくれたのかな
綺麗な月を綺麗だと思える
そんな些細な感覚を一緒に側で感じていたいと思う人になら
「月が綺麗ですね」と
ふと伝えることができる気がする
Fall in fall
秋の滝
滝の秋
滝に落ちる
秋へ堕ちる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます