2024年自民党総裁選における『必勝の策』

桃太郎

第1話 2024年自民党総裁選における『必勝の策』

昨今盛り上がりを見せて来た自民党総裁選に一つ物申す。

それは、『必勝の策』が、あることである。


「『必勝』? そんな物ある訳無いだろう。そんな物あれば誰も苦労しない。」

そう言われる方も一定数要る事であろう。

が、私には『視える』。風が吹いているのだ。これに帆を立てるだけで良い。

では、説明しよう。2024年自民党総裁選における『必勝の策』を!


 * * * 


まず、『自民党総裁選』とは何か?

これは、『自民党員』が、『自民党』の代表『総裁』を選ぶ選挙の事だ。


では、『自民党員』とは何か?

政党『自由民主党』に、自らの意思で個人情報を提出し、登録している者達である。

大きく分けて、国会議員と、一般党員に分かれる。


では、『自民党員』は、如何なる基準で、『総裁』を選ぶのか?

これが、今回の重要な構成要素になる。肝と言っても過言ではない。

通常、選挙と言えば、立候補者の所属政党とか、掲げる理念や政策を重視する所であろう。

が、これらは、一切考慮されることは無い。

何故?

それは、当然全員『自民党』だから。

そして、政策などどうでもいいのだ。

何故なら、彼等の目的は、次の選挙に勝つ事なのだから。

故に、彼等はこう考える。

「この代表で、この代表を『看板』に掲げて、次の選挙に勝てるのか。」

故に、政策などどうでもよくなるのだ。

そこで、過去の選挙を振り返り、何故この人物が当選したのか検証しよう。


 * * * 


まず、前回の総裁選を振り返ろう。

当選者は、言うまでも無く、岸田文雄氏である。

何故、岸田文雄氏だったのか。

他にも、河野太郎氏や、高市早苗女史など候補者はいたのに、である。


私の記憶が確かならば、上記二名の支持者による対立候補への個人攻撃があった。

つまり、河野太郎氏の支持者による高市早苗女史叩き。

更に、高市早苗女史の支持者による河野太郎氏叩き。

それも、日を追う毎に加熱し、過激化し、筆舌にしがたい醜い言い争いに発展していた。

それも、SNS上で、毎日毎日行われていた。

それを傍でみていた方々が、辟易としていた。

しかも、どちらかが総理になると、もう一方の支持者が、自民党から離れる可能性も浮上。

このままでは、まずい。そんな危機感が、あったのであろう。

そこで、『どちらでもない第三の選択肢』……それも『無難』な選択肢を選んだ。

そう、私は分析している。


他の選挙も振り返ろう。

例えば、小泉純一郎氏、第87・88・89代内閣総理大臣あたりがよかろう。

彼が、採択した選挙戦略は、実に単純明快シンプルだった。

一つ、『力ある言葉パワーワード』ありき。

二つ、追い打ちをかけるように、『分かり易い実利』を提示する事だった。


一つ目は、『自民党をブッ壊す!』。

二つ目は、『郵政民営化すれば、10万人の公務員を削減できる』。


本来ならば、スクラップ・アンド・ビルドの観点で話をしなければならない。

故に、『ブッ壊した自民党』の跡に、『何を創るのか』、語らねばならなかった。

が、未だに誰も知らない。


また、『削減した10万人の公務員』によって、『浮いたお金を何に使うのか』語らねばならなかった。

が、未だに誰も知らない。

あるのは、氷河期世代だけだった。


つまり、選挙に勝つ。その観点で、不必要な事は何も言わない。

それも、選挙に勝つ手段なのだ。


 * * * 


では、次に外国の例を挙げよう。

時は、1933年。所は、ドイツ・ヴァイマル共和国。首相の座に就いた男だ。

そう、国民社会主義ドイツ労働者党……ナチス党の党首だ。

ここでは、仮に『チョビヒゲ』……『チョビー』と呼ぶ事にしよう。


では、『チョビー』の演説手法を分析しよう。

これも、実に単純明快シンプルだった。

まず、現状ドイツが、如何に苦境に立たされているのか、淡々と語る。

そこで、『力ある言葉パワーワード』を放つ。

最後に、追い打ちをかけるように、『分かり易い実利』を提示する事だった。


そこで、当時のドイツが、どんな苦境に立たされていたのか。

まず、、第一次世界大戦の敗戦で、一部領土と全ての海外植民地失った。

更に、再軍備禁止、非武装地域の設定。

とどめに、当時の国家予算約20年分の賠償金だった。


そこで、政府がやった事は、紙幣を多量に刷って、市場にまいた。

結果、ハイパーインフレを起こして、ドイツ経済は混迷を極めた。

因みに、そんな中でもしたたかだったのが、ユダヤ人だった。

連中は、手持ちの現金を三~四等分して外貨に換えていた、

米ドル、イギリスポンド、フランスフランなどリスク分散を、恒常的に行っていた。

故に、ドイツマルクだけのドイツ人達より、損害が軽微だったのだ。


で、街には失業者が溢れるこの状況を、自身と所属政党の躍進に利用した男がいた。

賢明なる読者諸君に置かれては、既にお気づきであろう。

それこそが、『チョビー』である。

『チョビー』の『力ある言葉パワーワード』は、以下のような物だった。

我々(ドイツ人)は、今苦境に立たされている。

何故だ。

諸君達(ドイツ人)は、悪くない。

悪いのは、〇〇〇人だ!

後に、〇〇〇人を虐殺したのは、史実だ。

そして、『分かり易い実利』は、こうだ。

一つ、ハイパーインフレからの経済復興。

二つ、雇用対策。

三つ、賠償金の踏み倒し

そして、具体的な事は何も言わない。


こうして、ナチス党は、大躍進。泡沫政党に過ぎなかったナチス党が、第一党になったのだ。

更に、1934年8月、大統領パウル・フォン・ヒンデンブルクの死去。

それに伴う大統領選挙に勝利。一人で、首相兼大統領に就任した。

因みに、日本では、首相兼大統領を『総統』と名付け呼ぶ事となった。

これも勝つ為の『作戦』である。


 * * * 


では、先達の例に倣い、如何にして『必勝の策』を見出すのか。それを語ろう。


今回、私が利用すべきとする『追い風』は、『米不足』だ。

先月あたりから小売店店頭から、米が消えた。

これを利用しない手は無い。


そこで、『力ある言葉パワーワード』は、こうする。

「農林水産省を、ブッ壊す!」


更に、追い打ちをかけるように、『分かり易い実利』を提示する。それは、こうだ。

「私が、総理でいる限り、米の安定供給をお約束する。」


そう少し、尺稼ぎに具体性の精度を上げよう。

「農林水産省のトロ臭い老人官僚共には、任せておけん。

 総理大臣が、政府備蓄米を放出する。

 価格は、10キログラムで、一千円だ。

 もし、これより一円でも高く売る店、個人が存在するなら、通報して欲しい。

 総理大臣が、その店や個人を営業停止処分にする!」


こんな所であろう。これで、支持率上昇は、問題無くできる。

これが、SNSでバズると自民党員は、こう思うであろう。

「こいつに、総理を任せれば、次の選挙で勝てるんじゃネ。」

これで、決まり。


 * * * 


念の為、具体的な手順についても語ろう。

お売り就任後、まず着手するのは、農林水産省の事務次官を呼びつける。

そこで、三つの選択肢を提示する。

一つ、政府備蓄米を放出しない。

二つ、政府備蓄米を即時に放出する。

三つ、今すぐ辞表を提出する。

もし、選んだ選択肢が。「一」ならば、更迭。

この場合、事務次官は、退職金をもらえなくなる。

もし、選んだ選択肢が。「二」ならば、役職は据え置き、すぐさま放出させる。

もし、選んだ選択肢が。「三」ならば、今までの罪は水に流す。

退職金も払ってやる。

また、「一」「三」の場合、新たな事務次官にも同じ質問を行う。

これを、素直に従う事務次官が、誕生するか、農林水産省の役人が、いなくなるまで続ける。

もし、本当にいなくなった場合、他省から出向させる。

が、一応念の為、成功率をあげる努力をする。

まず、現在の農林水産省の事務次官並びに農林水産審議官、部長全員を更迭。

更に、課長から上記役職に格上げ。

そうすれば、『誰が』人事権を持っているのか、思い知らされるであろう。

すると、事務次官は、震え上がるに相違ない。

円滑に事が進む事疑い無し。


<終わり>

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2024年自民党総裁選における『必勝の策』 桃太郎 @MOMOTAROU_

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