「不明」

山科宗司

全て:プロローグ

人間の行き着く先に待っている運命即ち、死

神様、人間の運命を捻じ曲げる存在

死神、人間の運命を待っている存在

どんな生き物にも死は存在するが、神が存在しているかは分からない


「それでお前はどっちを選ぶ?救いの神様か?救いの死神か?」

「それとも、お前は神も仏も信じないタイプの人間か?」

「貴方は何者?」

空に浮かぶ象の骸骨

「どっちにしろお前はこれから死ぬ、片方しか選ぶ事はしか出来ないぞ?」

俺の事を無視をするただ単に怖い骸骨

「ん?そんな馬鹿な顔してどうした?」

「私が何者か気になるのか?」

「まぁ、はい」

「それなら君は神様を信じた方が良い、本当の意味で救われたいならな」

「なぜ?」

「私は見る人によって外見が変わる特殊と言うより特別な神だ

幸せな最後を迎える者なら西洋の美しい女神に、凄惨な最後を迎える者なら東洋の骸骨の姿に見えるようになる」

「どうだ?」

「どうだ?って....」

不思議と言うか、なんだか可哀想な神だな

人によって見た目が変わるって事は、本来の姿を知っている人間がいないって事なんだよな....

「へー、お前も少しは優しいんだな」

「ちょっとズレてるけど」

「えっ?」

もしかして俺の心を読んでるのか?神らしいし、それくらい出来るか....

それはそれとして

「凄惨な最後って具体的にどんな最後なんだ?」

「具体的にって言われても....最初から俺の事が骸骨に見えた奴は今まで一人しか居なかったし、一応最後に死神を信じた奴らは親とか兄弟に殺されたり、一家心中で自分だけ生き残ったのに後を追ったり」

「みんな基本的に親とか兄弟に最後を導かれてるな」

家族に....

「人間が死んだらどうなるんだ?」

「ある意味、生き返るぞ」

「ある意味って?」

「生き返った先の事はよく知らねぇが、人間の夢を叶える世界らしい」

「これは盗み聞きで聞いた話だし、正しいか知らねぇけどな」

人の夢を叶える世界....もしかしてゲームのような世界って事なのか?

「まぁ、神様も死神もどっちを選んでも生き返る事は決まってんだし、変わるのは死に方だけだからな」

「はやく選べよ」

もし、生き返った先がゲームかアニメのような世界なら

俺の夢『誰かの英雄になる事』が叶うかもしれない

「俺は死神を信じる」

理由としては、最初から目の前の神が骸骨に見えた人が今まで一人しかいない事

うちの親とはそこら辺の家族とは比べものにならないほど仲が良い事の二つ

どちらもただの妄想だが、人生最後の選択なら賭けても許されるだろう

「そうか、それじゃあ、そろそろ家に帰りな」

「家族が待ってるだろ?」

「あと、妄想は現実にならないからな」

そう言いながら神は地面に沈んでいった。


美しい女神の姿も気になるなと呟きながら俺は家に帰った

家に帰るとやはり、親の喧嘩の声は聞こえない

「お風呂先に入るからね~」

扉越しとは言え、俺の声は聞こえてるはずなんだけどなぁ....

「まぁ、いっか」

体を洗わず、先に湯船に入る

「ん~最高」

いつも体を先に洗えとは言われるが、気持ちよくなる時にルールを守る必要あるのかよ....

お風呂から上がり、自分の部屋でだらだらしていると

一階から喧嘩のような声が聞こえる

「親に殺される運命....俺が選んだ道なんだが」

するとお母さんの悲鳴が聞こえた、誰かが階段を上って来る音がする

「死なない道は無かったのかな....」

お母さんの声は聞こえなくなっていた、誰かが俺の部屋の扉を開けた

俺の部屋に入ってきたのはお父さんだった

「.....。」

どれだけかっこつけても、死ぬのは怖い

「嫌だ」

するとお父さんはこう言いながら俺を刺した

「ごめんな、お前は悪くない」

『グサッ』と自分に包丁が刺さった音

俺にはお父さんの言葉より痛みの方が早く広がった

「うん」

僕は何も感じないように目を閉じた。

「..................。」


なんだか、懐かしい何かを感じて目を開けた

僕が目を開けると

僕は、何かを忘れてしまった。


目の前には真っ黒の球体が浮かんでいる

今回は骸骨じゃないけど、なんだか似ている

「君はどうやって死んだの?」

「てか、私の事見えてる?私の言ってる事分かる?」

「大丈夫?立てる?私の話聞いてる?ねぇ?」

「私の事無視してるの?」

なんなだろうこの球体、少しうざい

「僕は気がついたらここに居たんだよ」

「そっか....」

「君、ここに来る前の事思い出せる?」

「空飛ぶ骸骨と喋ってから....あんまり思い出せないな」

たしか、あの神が言ってた事をお父さん達に話した後.....

ベットで寝たんだっけ?

「骸骨かぁ....つまり、そういう事だろうね」

「ちなみに自分の名前は思い出せる?」

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