まりんちゃん4歳が風見真凜28歳(俺のお嫁さん)になるまで

うーぱー(ASMR台本作家)

第1話 まりんちゃん4歳。ちゅーりっぷ組

 今日は、おとなりのまりんちゃんが遊びに来ているよ。

 かくれんぼをするんだ。

 僕はベッドで布団の中に隠れたよ。

 だけど、なんだか急に体が熱くなって、ぼーっとしてきた……。


「いーち、にーい、さーん、しーい、ごーお、はーち、ろーく、じゅう! もーいーかい?」


「いいよね? さがすよー。んしょ」


 とてとて。

 かたかた。


「あーくんは、ど、こ、か、なー。あれえ? 机の下にいないよー?」


 ごそごそ。


「ベッドの下~? いないー」


 とてとて。


「あーくん、どこー? どこに隠れてるのー?」


 とてとて。


「あ! たぶん絶対に、ベッドの上だ! うんしょ。うんしょ……!」


 ごそごそ。


「わあっ! 赤ちゃん! 赤ちゃんだーっ! なんで赤ちゃんがいるのー? ここは、あーくんのお部屋だよ? ねえ、あーくんが、赤ちゃんになっちゃったの?」


「つん、つん。わあ。ほっぺたぷにぷにー。右からつんつん、左からつんつん。ぷにぷにだー。ねえ、赤ちゃんは、誰の赤ちゃんですか? あーくんですか? 違うんですか?」


「あーくんとは別の人間ですか? ねえ、赤ちゃんは、どこから来たの?」


「分かんないの?」


「赤ちゃんは男の子ですか? 女の子ですか? 服を脱がしてもいいですか?」


 ごそごそ。


「あーっ。男の子だー。おちんちんついてるー。どうして、あーくんの服を着てたのー? ぶかぶかだよー」


「あーっ! なかないで。よしよし」


「おっぱいあげたいけど、まりん、おっぱいないの。だから、よしよしで泣きやんで。よしよし」


「まだ泣くのー? じゃあ、おでこに、ちゅっ……。泣きやんだー?」


「あれえ。どうして泣きやまないの?」


「おしっこしたいのー? おまた、ぷに、ぷに、してあげる? しなくていいの?」


「ねえ、赤ちゃんは、どうして、あーくんのお部屋のベッドで、寝てるのー?」


「あっ。そうだ! 初めまして! わたしは、ちゅーりっぷ組の、かざみ、まーりーんっ、です! 将来の夢は、あーくんのお嫁さんです。赤ちゃんは誰ですか?」


「しゃべれないんだー。お手々、ちっちゃー」


「わたしももうすぐお姉ちゃんになるんだよ。あれ。もしかして赤ちゃんは、あーくんじゃなくて、私の弟ですか?」


「あははっ。赤ちゃん、喋れないんだった―」


「はいはいできる? はいはい。赤ちゃんは大きくなったらはいはいするんだよ」


「ほら。見てて。赤ちゃんの周り、はいはいしてあげる」


「はいはい! はいはい! はいはい!」


「ふう……。はいはい久しぶり過ぎて、疲れたー」


「ねえ、見てた。赤ちゃんも早くはいはいできるようになってね! そうしたら、まりんとあーくんの部下にしてあげる! いっぱい残業させてあげるね!」


「あー! あくびしたー! 眠たいの? まりんがお歌、歌ってあげる!」


「ねーんねーん、ころーりーよ、おころーりーよー。らん、らん、ら、ららん、らん、らん、らん、らら、らー♪」


「眠ったー?」


「あっ、そうだ……。おかし、もらってきてあげるね……」


「その前に、行ってきますのちゅーするね。んーっ、ちゅっ……。反対側も、んーっ、ちゅっ……」


「まりんがいなくても、寂しくて泣いたりしないでね。大人しく寝ていてね……」


「じゃあね。うんしょ。うんしょ……。まりんはまだ小さいから、ベッドからピョンっておりれないの。うんしょ。うんしょ……」


 ごそごそ……。


「ふう。おりれた」


 とてとて。


 ガチャッ!


「それじゃあ、赤ちゃん、いい子でお留守番していてください!」


 パタン。

 とてとて。


「あーくんのママ―! 赤ちゃんのお菓子くーだーさい!」


「赤ちゃん、いるよー?」


 部屋の外からまりんちゃんの声がする。

 はあはあ……。

 あ、熱かった……。

 頭もぼーっとしてたし、風邪をひいたのかなあ。

 でも、だいぶ楽になってきた。

 あれ。僕、いつの間にベッドで寝てたんだろう。

 まりんちゃんが遊びに来て、かくれんぼしてたと思うんだけど……。


 トタトタ……。

 パタン。


「赤ちゃん、ただいまー」


 え?

 赤ちゃん?


「あれえ? あーくんだー。赤ちゃんがあーくんになっちゃったー」


 え?

 僕、赤ちゃんだったの?


「あーくん、赤ちゃんになってー」


 そんなこと言われても、僕は赤ちゃんになれないよ。


「なってよー」


 無理だよー。


「やだやだ、赤ちゃん、なって!」


 おままごとなんてやだよー。

 僕、赤ちゃんになんてなりたくない。まりんちゃんのお婿さんがいいー。


「赤ちゃん、どこに行っちゃったの?」


 最初からいないよ。まりんちゃんが夢を見たんだよ。


「夢じゃないもん。赤ちゃんいたもん!」


 そんなあ……。

 ここ、僕の部屋だから、僕しかいないよ……。


「赤ちゃん……いたもん……」

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