同棲彼女と過ごす雨の休日

焼き串

一話 生憎の雨と二度寝



(朝の寝室。カーテンを開けると外は土砂降どしゃぶりの雨)




「あちゃー。やっぱり降ってる……。天気予報の通りだね」



「今日ばかりは外れてほしかったのに。せっかく」



「彼氏くんと休みが重なってデートする予定だったのに。この雨じゃあ……」



「色々考えてたんだよ? 遠出するのもいいなあとか、街へ出てぶらぶらするのも楽しいかなって」



「しばらくデートもご無沙汰ぶさただったからね」



「お互い中々、休日が重ならないし。彼氏くんも忙しかったし」



「だから楽しみにしていたのに……」//落ち込んだ様子で



「え?」//不意を突かれた感じで



「……うん、そうだね。雨の日には雨の日の楽しみ方がある、かあ」



「じゃあ彼氏くん、今日はお家で一緒にゆっくりしよう!」



「普段は何かと時間に追われているから、あんまり一緒にまったり出来ないしね」



「今日は二人で、日頃の疲れを癒やすということで。どうかな?」



「よし、そうと決まったらまずは」



(カーテンを閉める音)



「二度寝しない? まだ朝も早いし」



「外出するならともかく、家で過ごすなら、もうちょっと寝てもいいかなって」



「ふふっ、彼氏くんもまだ眠かったんだ。それじゃあ」



 

(あなたの手を取り再びベッドに入る。マットレスが沈み布団をかける音)




「うーん、時間を気にせず二度寝出来るっていいね!」



「普段は寝過ごすのが怖くて起きちゃうから。ちょっと悪いことをしている気分」



「あっ、彼氏くんも同意見?」



「そうだよねえ。うっかり寝過ごしちゃったらと思うと寝られなくて」



「でも、今日はその心配がないから気持ちよく二度寝出来そう」



「休みの日くらい、悪い子になってもいいよね」




(寝室に雨音が響く)




「……雨でがっかりしてたけど」



「こうして彼氏くんの隣で、雨音を聞きながら横になるのも悪くないね」



「……ねえ、くっついてもいい?」



「うん、ありがとう」

 

 

(掛け布団が動く音)



「彼氏くんを抱き枕にして二度寝なんて、かなり贅沢」



「それはこっちの台詞じゃないかって? もう、すぐそういうこと言って」



「彼氏くんは、自分の発言の危うさにもっと自覚を持った方がいいよ?」



「でないと」




「……今よりもっと、君に依存しちゃいそうだから」//トーンを下げて耳元にささやくように




「……なんてね。ほら、そろそろ寝よう」



「うん、それじゃあ」



「おやすみ彼氏くん」//耳元に囁くように




(再び雨音)




「……本当に気をつけないとね」//小声で呟くように

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