🔮パープル式部一代記・第五十九話
「はっくしょいっ! また、誰ぞがどこかで変なウワサしているな……」
「寒さのせいでは? やはりこの季節ですし、髪を洗うのは止めた方がよかったのでは……」
「そうは言っても
「まあ、長いだけに気になるのは分かりますけど……もう出歩くのは止めた方がいいと思いますよ?」
道長から「老いらくの恋」のウワサを聞いて、それで近頃、用もないのに変に人の出入りが……そう気づいた
「
「いいのいいの、たっくさんあるから! 使う訳にも配る訳にもいかないし!」
***
〈
御簾の向こうには相変わらずの集団がいて、目を細めて中を確かめていた。するとそこに面倒そうな道長がやってくる。
「留守か――」
「
「あ、道長、ちょうどよかった。聞きたいことがある!
「あ?
「そう!
「なんか不気味だから頭の上を見て話してる……でも、
「だ――
「あの伝説の恋のタイトルホルダー! そっちに似たのか――! それは残念!」
道長の話を聞いて、みなは「解散! 解散!」と、素早く消えていた。現金なモノである。
その昔、「恋の軽業師」
***
〈 その日の深夜 〉
「かくして、根暗の
「バカさま、日記なら自分の部屋で書けよ……あと、普通は翌朝に書くもんだろ?」
「ガキがうるさくてな……あとこれは基本、
「ふうん……まあ、いいけど……」
この大火でいつにも増して本に埋もれている
「う――む、この、
そして、また翌日の夜ことである。
「あいたっ! こんなもん預かるんじゃなか……え?」
ブツブツ言いながら元に戻す前に、見るとはなしにぱらりと開けた裏日記とやらには、あの「いがぐり」を途中まで世話をしていた
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