🔮パープル式部一代記・第五十八話(幕間)
※平安時代は基本的に、日記は翌朝書いていました。
***
「殿、
「え? あ、ああ……うん、今日はやめとく……」
日記も書いていないなんて、一体どうしたのかしら? この間は、「妖怪が!」なんて大騒ぎだったし……まあ、内裏の火災からこちら
まさか恋人のところに通っているなんて知らない北の方は、そう思いながら、「とにかくお仕度を……」なんて女房に伝えていたがなんのことはない。
昨日のことである。
「入手ほやほや……驚異的におもしろいこの話……知りたい……?」
「えっ、なんですか!? 知りたい!」
「聞かせて! ぜひとも! よかったらうちに寄って行ってよ! とっておきの酒もあるよ!?」
そんな感じで最高会議「
「あのさ、ここだけの話だけど……
「えっ!? まじでっ!?」
「ど、どこのだれとっ!? 生きてるのその相手!? アイツえっと……なん歳だっけ? 子どもの頃には、すでにじじいだった気がするけど……」
「八十四歳! で、毎晩通い詰めだって……男はこうありたいとあらためて居住まいを正したよ……男は生涯現役じゃなきゃってね……相手を知りたい?」
「知りたい! 知りたい、知りたいっ!」
馬鹿の集まりの話を聞いてしまった……そう思った
「
「思ったんだけど?
「あのさ、ちゃんと顔を見たことはないんだよ……いつもほらバッサバサに髪振り乱して、藤壺のあたりを歩き回っているから怖くてさ……
「え? なに? 本当は美人な訳!?」
「そんな、そんなまさかっ!?」
「あのさ、よく考えてみてみればだよ……」
「考えてみてみれば……?」
周囲は
「完璧美少女の賢子ってばさ……
「あ……」
「それじゃひょっとして……真眼で……見抜いたとか? 実は手入れすればとんでもない絶世の美貌の未亡人とか!? いいよ! 根暗でもそれなら話はぜんぜん違う! 憂いのある美人の未亡人なんて最高じゃないか! いまから見に行こう!」
『いずれ
勘違い公卿たちから、しばらく
「絶世の美貌の未亡人!?」
うわさを聞いた道長は、今度、本人に教えてやろうと思いながら、大爆笑していたという。
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