🔮パープル式部一代記・第三十九話
そして前出の『あの親父』こと、公卿、
「ついでに源氏物語の作者とやらにも、少し小言を言ってやらねば……」
「
そう、源氏物語への苦情も彼はため込んでいたのである。そして、話は再び
***
「それでさ、そのために特別に全員の装束を、ポンパドゥールが選ぶからって、さっきわたしも
「わたし大丈夫、ひっかき回されるほど衣装持ちじゃないから……と言うか、わたしに小言とな……では、読んでいるのではないかむっつり親父め……」
「あ、ポンパドゥールがこっちにくるよ! きたきた!」
「きた……降りてきた……青空を――いやいや、大空を――かよふまぼろし、まぼろし……夢にだに――見え来ぬ
「えっ!?」
「ちょっと消えてくれる? いまやっと決めゼリフが降りてきた……かなり後なんだけど……」
なにかが降りてきたらしき
どのみちうるさい
だがしかし、
***
「ゆかり……ちょっとすまんが……」
「誰……?」
誰と言ってもゆかりなんて呼ぶのはあいつだけか……やれやれまた原稿の催促に……
そう思いながらひょいと
「え? おい、バカさま!?」
「ゆかり、しばらくかくまってくれ……大げさにはしたくない……」
思わずお互いに昔の名で呼ぶほどの状況であった。
「取りあえずここへ……」
ゆかりは例の「抜け穴」を開けて道長を隠してから、素知らぬ様子でまた物語を書いているふりをしつつ、御簾越しにあたりの気配を探っていると、いつもは邪魔なほど回っている警備がなぜか回ってこない。
しかし、しばらくして見覚えのない顔の警備の役人が、ちらりとこちらの様子をうかがっていた。
『だれだあいつ?』
新しく手に入れた
突撃生取材をする関係で、
「
普段はそう言って暗い笑みを浮かべている彼女であったが、「ここまでザルとは……」そんなことを思っていると、どこからかちょうど
「
小声で聞きながらこっそり穴を開けると道長がうなずいたので、
「…………」
***
関係のない話ではあるが、いま現在、いわゆる「原典」とされているのは少しあと、「親子で読める源氏物語」そんな依頼を受けて制作された、R指定の外れた作品である。
「こんなお子さま用はいらん!」
そして、なぜ、「(親子で読める)源氏物語」が生き残ったのかと言えば、「平安公卿長生き選手権」で、道長が
閑話休題
(※フィクションです)
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