🔮パープル式部一代記・第三十五話
頭にクモの巣を絡めたままの
肩を寄せあい手を取りあってガタガタ震えていたふたりであったが、それでもさすが、「ドヤ少納言」と呼ばれたりもする気の強い女、清少納言は、これがあのしょうもない物語の作者! 皇后・
「な、なんの取材な訳!? こっ、皇后さまに、この無礼! 許されぬしょ……」
「邪魔……この世間知らずの豪雪知らずめ。お前に用はないよ……」
「え? ご、豪雪……なんの話?」
「越前をなめるなよ……あやまれ……」
「???」
陰湿な
『ただの一個人の感想です』
枕草子に、そのひとことがなかったばかりにこの始末……クモの巣を荒らしながら入り込んだ床下でふたりの話す声をじっと聴いていた
そして、筆と紙を置くと、ガバリと出てきた穴を再び覗き込んで、そのバールのような物を取り出していた。
***
「俺の
これはこの間、
彼女は、「おや? おやおやおや? なにか落ちている……これは、
「そ、そなた、もしや左大臣の刺客か!? だっ! だれぞ……!!」
「うるさい……すぐに、おいとましますって言っているのに……くらえ、越前の恨み……」
『ゴンっ!』
そんな、小さな鈍い音がしてすぐに清少納言は、バールのような物の持ち手の方で気絶させられていた。
「まだいる……」
そう、
ふたりの間には、気絶して床でのびている清少納言……
「一体、左大臣が、わたくしに、なにを……」
「あ、道長関係者ではありますが、今回はまったく、作家、一個人として伺っております……」
「そうなの……?」
「はい……まったく関係なしです。なにせ、
「あなた……この調子で、あちらこちらの床板を剥がして回っているの?」
「いえ、これは今回初挑戦、皇后さまが初の御体験でございます……」
そんな「初の御体験」なんでいらない……
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