🔮パープル式部一代記・第二十八話
帝は出直して正式に
「まあ、すっかりご立派に! いえ、帝に対して失礼なことを……」
「いいえ、母である女院さまを、すっかりお寂しくさせていた朕をお許しください……」
出迎えた自分の弱さを見せぬためか、昔と変わらずはりのある美しい声で、母は自分と会話していたが、朝、こっそり見た幼い
「この子、
「……えっ!?」
その一言で周囲の時間は止まっていた。
『時間よ止まれ……』そんな呪文はないのにも関わらず。
「お初におめもじいたします……
「
帝は思わず
「え? あ、いや、たしかいたような……いなかったような……あ、いましたいました。たしか、娘のためにも是非って言われまして……」
「母はそんなことを!?」
「え、うん。そうだよ……」
『負の遺産だけどね……』
そんな真実の
「
「はっ!」
「この歌を全部清書しておいて……いますぐ!」
「承知つかまつりました」
いつもは
「母の思い……海よりも深く……あの、鬼のようなすさまじさは、我が子を愛し幸せを願うゆえ、あの物語は母の執念が生み出した物語か……」
そうしてそのとき
少しは
それから、清書された歌を女院さまと帝がしみじみと眺めていると、娘である中宮・
「
「いえ、わたくしだけでは、中宮さまにふさわしき実家をご用意できているのか心配で……女院さまの御知恵を是非……
「お引っ越しの祝いに、さかさ……例の物語のpart3、書いてもらいましょうよ?」
「おっと、それはいいわね……」
そんなこんなで史実よりは、やや遅まきながら女院さまは、
「はい、女院さま……お付きの
そう女院さまにお言葉を賜って、引っ越しが済んだあと、
そして、「お付きの
「女院さまをお慰めした功績により、
彼女には特別な帝の裁可が降りていた。帝は、
周囲にはどよめきが走っていた。
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