🔮パープル式部一代記・第二十二話
その日も
が、これまでの悪行三昧の恩恵か? 彼女の
「ふじしきぶさま?」
「ちょっと昼寝するから、休んできてもいいよ……」
「はあ……」
ひえっ!
すべての苦情は彼女に押し寄せていたのである。「きっと、きょうも、なにかの、くじょうにちがいない……」そう思った彼女は親しい
小さくてきゃしゃな手を、いきなりつかまれたのは……
「ひえっ! ひとさらい!」
「ち、違いますっ!」
「え……?」
腕をつかんだ人物は、「名儒」と称された夫を持ち道長の正妻、
「あ……このひと、まっかっか……」
変な人に耐性のある?
「今日から女房として出仕した
「あ、きょっ、きょうは、ちゅうぐうさまは、たいせつなしんじで、あすまで かえって いらっしゃいません」
「あらそう……暦を読み間違えたのかしら? あらあら、ふふふ……」
ふんわりとそう笑う
「え!? 新しい女房……明日って聞いていたけれ……あ! あなたがウワサに高い
「おいでま……せ?」
「いま、ふじつぼで、はやっている、あいさつです……」
「あらまあ……」
「
歌はすばらしいのに現物は雑だと評判の、臨時でここの
「うわっ! なにこれ!?」
御簾の向こうからは、
「
「おいでませ藤壺へ!」
「なにが、おいでませだ、この大馬鹿娘……」
「まあまあ、せっかくの、お客さまですよ!」
常人ならば腰が抜けてもおかしくない……そんな転がった拍子に身の丈程ある髪で、ばさりと顔は雑に覆われ、その隙間から血走った暗黒色の瞳で見つめてくる
「誰?」
「
そのまんまだな……。
真っ赤に染め上げられた、あらゆる赤が重なる
「よくそんな目の痛くなるような
「うふふ、これなら誰にも盗られないと思いまして……」
「…………?」
藤壺にはときおり、「追い剥ぎ」が出るそうな……
そのウワサは内裏に上がってもいない
「ふ――ん、そんな物騒な事件が藤壺で起きてるんだ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます