第43話寒いんか、よいご?

1本杖を頼りに佇む舞後の体幹はふらふらと左右に揺れていたが、気丈にも「大丈夫や、今ベイビーバックに行って来たんやけど帰ったいわれて、通りからお前が座ってるのが、見えたからな。」


声が震えていたが、寒風が吹いてはいなかった。

「寒いんか、よいご?」

「あのやあ!折角良い話を持って来たのに。」


舞後は会下山医療センター地下店舗を鍼灸院として経営していたが、経営不振に因り店を畳む羽目に陥っている。


 そこで源のボランティアで特養の老人の調髪を一人15百円で請け負っている。

 が、舞後の店舗を譲って、入院患者専用で調髪を行う。

 患者数は約15百名だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る