第42話「よいご」背後に立つ!

木製ベンチに座る源は足下から上がって来る寒気に底冷えのする深部体温が美容室「アプリーレ」へ帰って暖めなければダメだと、思う2月の昼下がり、六甲山上から溢れ落ちてくる粉雪が恨めしい。六甲おろしが厳しい季節だ。


 でも指が悴む冷たさの缶コーラは素晴らしいシュワシュワ感で、身震いしながら少しずつ飲んでいた。


 じゃり・・・。


源の座るベンチの背後にヨレヨレの男が立っていた。


 人の気配に気付き振り返った源は驚きと懐かしい気持ちを全面に出していた。

「オォ~よいご!もう大丈夫なんか?」

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