クラスのあいつが死んだらしい

堕me人間

第1話 最初の日

社会人生活半年、朝起きて働いて寝てなんの目的も夢もなくただ生きるだけ。

ブラック企業でもなければ一流企業でもない地元の企業に勤める、まさに平凡な社会人。

その時の僕は退屈していたのかもしれない。

高校2年まだ色褪せない、いや一生忘れることがないあの1年間に比べたら。

ふと壁に飾ってあるひとつの写真に思いを馳せる。


高校2年春

懐かしい香りがした。

「ねえ聞いてる?」

はっと目を開くと見慣れた顔が不思議そうにこちらを見ていた。

彼女は朝野 日向 、このクラスのムードメーカー的な女子。転校してきて浮いた存在だった僕をなにかと気にかけてくれた優しい人だ。

それにしても鮮明な記憶だ、

「ごめん、考え事してた。」

ぽつりとそう呟いた。

ん?少し待てよ。

一瞬よぎった違和感を爆発させるように頬に手が触れた。

「ねえ、大丈夫?風邪?」

日向は心配そうにこちらを伺っている。

これは妄想でも懐古でもない、現実だ。

目が熱くなる、頬に涙が伝う。

回帰なんて創作の世界の現象でしかなかった。

どれだけ願っても戻りやしない、わかっていたが遂に願いが叶ったのかもしれない。

仮にこれが現実味を帯びた妄想だったとしても今回こそは。

そう、今回こそ僕が彼女を──

──────殺さなくては。

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