『イミテーション・せんべ』

やましん(テンパー)

『イミテーション・せんべ』


 久しぶりに、同窓会に出た。


 がんの手術をして2週間後のことである。


 医療の進歩はまさに畏るべきものだ。


 しかし、さすがに尿漏れが大変で、紙パンツを大量に消費することにはなった。


 その帰りがけに、四国の高速道路の売店で、古風なおせんべを買った。🍘


 ぼくの自宅近辺では見ないものである。


 これが、まことに、美味だったのだ。


 そこで、自宅近辺でもないか探したが、なかなか見つからない。


 仕方がないし、びーちゃんもぼくには近寄らないから、地下のねこママの店に沈んでいた。


 『なんならば、うちで取り寄せてあげまにゃんか。』


 『ママ、また、大金をせしめようとしてるんだろ。』


 『どうしてもほしいものを手に入れるためには、多少のリスクはあるものにゃ。』


 『あのね、おせんべなんだから。禁輸品ではないし、そこまでしないよ。買いにゆけないわけでもないし。』


 『でもにゃ、四国ごき連盟軍と、本州ごき同盟軍が、瀬戸内海中央大橋で戦いになりそうにゃ。』


 『なに〰️〰️? なんだそりゃ。』


 『ほら。GTVみるにゃよ。』


 『………えー、ごき。状況は、緊迫しております。四国ごき連盟軍は、すでに、橋をわたりはじめていまごき。本州ごき同盟軍も、四つ穴トンネルに集結していまごき。やましんちごき軍団による和平交渉は失敗した模様ごきな。もはや、戦争は避けられないようでごき。』


 『まて、まて、ごきさんたちが、戦争?』


 『まあ、いろいろと、あるにゃん。引き続き、人類ニューステレビを見るにゃん。』


 『えー。信じがたいのですが、大量のごきが、四国がわと本州がわから押し寄せております。そのかず、二億に達するとか。しかも、見にくいですが、手に手に? なんと、武器を持っているような。見えますか? これ? 機関銃も、ロケットランチャーもあります。いまや、橋上は真っ黒に染まっています。道路交通は遮断されました。鉄道も、運休です。山の下教授、これは、なんでしょうか。』


 『前代未聞です。我々の科学は、間違っていたのではないかと。悩んでおります。』


 ねこママが言うのである。


 『やましんの希望するせんべは、入荷困難かもにゃ。でも。まだ、別ルートもあるにゃ。鳴門経由とか、尾道経由とかにゃ。いまなら、三割ましだにゃ。でも、たぶん、戦線が広がって、すぐに、倍額になるにゃ。お早めに。』


 『だからさ、いいよ。まったく、みんな、戦争ばかりして、どうするんだ。被害を受けるのは、いつも、市民なんだから。こいつは、戦争病だなあ。も、ねる。』


 

   🍘🍘🍘🍘🍘🍘🍘


 

 しかし、その晩の、丑三つ時のことである。


 音は消していたテレビが、激しく光って、画面の中あたりは、まるで火の海になった。


 『なんだよな。まったく。もう。』


 と、やましんは、音を復活させた。


 GTVは、人類には視聴できないが、もはや、人類テレビもこの話で持ちきりである。


 『たいへんです。予想外の大爆発です。なんと、橋が、燃え上がっております。核が使われたのではないかとの情報です。山の下教授。いかがでしょうか。』


 『はあ………沈思黙考。』


 

 🍵🍘🍘🍘🍘🍘🍘🍘🍘🍵



 両軍とも、大損失を受けて、取りあえず撤退したらしかった。


 しかし、人類が受けた衝撃は、極めて甚大であった。


 それはそうだろう。


 ごきが、核を自宅に持ち込むのではないか?


 と、人類は、戦々恐々となったのである。


 政府は、難しい対応を迫られたのである。


 

  🍆🍆🍆🍆🍆🍆🍆🍆



 やましんは、買ってきていた袋に、近くのお菓子やさんが作った、見た目はそっくりなおせんべを詰めて済ませていた。


 いつの日か、平和な日々が戻ることを期待して。



       🙏





    🐼🐻🐰🐷🐨🐹



       おわり



       ぽ



      ヤマシンノオハナシ









        🐥









 

 

 

 




 

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『イミテーション・せんべ』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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