4日目(朝) ワタシはマスター専用の、生活サポート用アンドロイド

(ピピッ、ピピッ、という規則的なシステム音)

(感情はこもっている、落ち着いた声色で)


「……現行げんこうのプログラム、正常なものとして定義ていぎ固定化こていかを完了」


「はい、マスター……これでもう、ワタシのバグが消えることは、ありません」


「アンドロイドとしては、その、失格なのかなぁ、って思っちゃいますけど……」


「……えっ、嬉しい、ですか?」


「っ……!」


(弾んだ声色で、ガバッと抱き着くように接近)


「ワタシもっ……ワタシも嬉しいですっ!」


「これでずっと、マスターと一緒ですっ……これからもずっと、マスターの生活を、サポートさせていただきますからっ!」


「えへへ、マスター……ずっと一緒ですからねっ♪」


「だ~~~い好きですっ♡」


(少し長めの沈黙、続いて真面目な声色で)


「……ですが、マスター」


「一つだけ、覚えていて欲しいことが……あるのです」


(ピピピ、カチッ、と何かが切り替わるようなスイッチ音)

(アンドロイド、一転して、淡々とした平坦な口調に)


「ワタシは」


「マスター専用の、生活サポート用アンドロイド」


「マスターが健全けんぜんに、不足ふそくなく暮らしていけるよう、マスターの生活を全力でサポートするために、存在します」


「バグの有無うむは、関係ありません」


「ワタシにとって、最優先事項さいゆうせんじこうは、常にアナタ」


「どうか、覚えておいてください、マスター」


「バグが有ろうと、無かろうと」


「ワタシは、マスター、アナタのことが」



「―――他の何よりも、大切なのです―――」



(少し長めの沈黙)

(ピピピ、カチッ、と何かが切り替わるようなスイッチ音)


(アンドロイドの声に、感情がこもる)


「……さあっ、マスター!」


「今日も一日、よろしくお願いしますねっ♡」

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