最初で最後の彼 ~業務連絡いたします!スピンオフ~

月湖

第1話


『イイ男を捕まえたかったら、まず自分がイイ女にならないとね?』



当時中学生の私にそんな事を言った母親はバリバリのキャリアウーマンで、結婚後も共働きで私達3人兄弟を育ててくれた。

年月を重ねてもラブラブで、そんな両親を見て育った私は母に憧れ、母のように幸せになるべく母のようなキャリアウーマンを目指して日々勉強し、そのおかげもあってそこそこの大手企業に採用してもらい現在に至る。


でも、お母さん。

どうせならもうひとつ教えて欲しかった。

イイ女とは具体的にはどういうことなのか。

母のように幸せな結婚をしたくて色々頑張ってきた筈なのに。

あなたの娘、齋藤さいとうゆき乃は気付けば齢31にして独身、彼氏もナシです。


私の憧れ、未だに現役で働いている母には「ゆき乃、見た目は百点なのにね?」と苦笑され、2つ下の妹は昨年「順番守ってたらいつまで経っても出来ないし。お先にごめんね?」と、通っていた歯医者さんと結婚した。

ちなみ4つも離れた末っ子の弟は3年前にデキ婚。ああ、今は授かり婚って言うんだっけ?

言葉が違うだけで中身は同じだと思うけど。

それでも、頼りないと思っていた弟は子煩悩な父親になり、夫婦仲も良く来月二人目が生まれるらしい。


同じように育ってきた兄弟の中で私だけ、誰かと作り分け合う幸せを知らないでいる。

何故だろう。

母のようなキャリアウーマンを目指した結果、私は見事なお局になりました。

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