バイトしたい、ただそれだけ。

ゆず。

1、目撃

あんなに元気だった若葉も老いてきた頃、

純粋に燃える太陽に逆らうように私の心は荒んでいた。


理由は、分かっていた。


今年入学した大学で仲良くなった友達に、夏休みに遊びに誘われた。

それは、とても嬉しかった。


実際、この前、遊んで楽しかった。彼女もおそらく楽しかったのだろう。来月、原宿で遊ぼう、と言われ、そして今日、彼女は、、、


駅に待ち合わせ時間になって、来なかったので、電話してみた。理由があるなら仕方ないし、寝坊も、まあしょうがないと思う。


でも、彼女はこう言った。


「あ、、、もうこんな時間か、ごめん、そっち向かうね。 」


その言葉に違和感を覚えた。


彼女は、私とお昼を食べた後、「ごめんこの後、大切な用事あって」と2人で駅まで向かい解散した。


しかし、別れ際彼女の背中を見るうちに先ほどの違和感を放っておけなかった。


気づかれないように後を追いかけると、また原宿の改札口に来ていた。

彼女は、私と別れるフリをして、また原宿で遊ぼうとしていたのだ。


ますます分からない。人混みに紛れた彼女を見失わないように追いかけると、彼女はいつの間にか、友達?のような子と歩いていた。


彼女は、私以外の人とも予定を入れていたのか。


しかも、さっき食べたパスタ屋に入っていく。


その後、夕方まで私は彼女を尾行していた。

その間、彼女は私の時と同じようにパスタ屋に入り、すぐに駅で解散を繰り返していた。


最初こそ、複雑な感情になったが、短期間にパスタを5、6皿食べてしまうほど大食いである彼女の今まで知らなかった一面や会う人によってキャラをコロコロ変えられる彼女に興味を持った。


モヤモヤが興味深い、面白いに変わりつつあった頃、彼女は1人でパスタ屋にいた。


そして、店長と思われる中年女性に封筒をもらっていた。


中を見なくてもわかる。あの大きさ、形、あれは、お金だ。札束だろう。


そう言うことだったのか。彼女は、私、いや彼女を友達と思っている私たちを利用していたのだ。


おそらく、彼女は、連れてきた人数分だけあの店からお金をもらえるのだろう。


悲しい、楽しいから遊んでくれていたと思っていたのに。


そこから、私の心は荒れていく。









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