空色杯15(500字未満の部)
mirailive05
ブルー・ブルー・スカイグレー
今日の空と同じようなスカイグレーのロッカーの扉に、写真が一枚貼られている。部隊の仲間たちと一緒に撮ったやつだ。
装備を身に着け、ヘルメットを取った。夏の残り香で汗がにじむが、気にはならない。
最後に配属された俺と数人を除いて、仲間たちはみな退役した。
思い出すのはいい経験ばかりだ。厳しいが面倒見のいい先輩がほとんどだった。仲間思いの同期もたくさんいた。困難だったが、やりがいのある任務も多かった。
「俺は本当に運がよかった」
そう呟きながらブリーフィングルームを出て廊下を進み、防火ハッチをくぐる。
「この格納庫に足を踏み入れるのも、今日が最後か」
ロッカーと同じ色の、スカイグレーの機体が俺を迎える。
敵を葬れる最新の兵器を搭載した、俺の最後の機体だ。
備え付けられたタラップを上り、機体に乗り込む。
機体がゆっくりと滑走路に向かう。
年下らしい航空管制官のゴーサインに、軽く返礼を返す。
押し付けられるGに身をゆだねて、俺は最後の任務に飛び立つ。
願わくは、明日もこの国が存在しますように……
空色杯15(500字未満の部) mirailive05 @mirailive05
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