第2話
まぁゲームの語りはそれくらいにして・・・・・・とにかくあたしはエレメントアースに行く為、友人達に黒竜池まで肝試しに行こうって提案したの。
でもね、よりによって友人達は塾に行くとか、推しのライブがあるとか、適当な理由をつけてあたしの提案を断りやがったの!!!
何よ!
モブの癖に!
モブの分際で!
ヒロインの提案を断るなんて生意気なのよ!!!
こうなったら一人でエレメントアースに行ってやろうじゃないの!!!
妖魔の王達に、グレンヴァルト様に溺愛される為に、あたしは黒竜池に向かったわ。
黒竜池がある森は鬱蒼としているから昼間でも薄暗いの。
だからこそ神隠し伝説があったり、肝試しのスポットになっているのかも知れないけどね。
ヒロインがエレメントアースにトリップする条件は、赤い満月が輝いている夜に黒竜池に行く事なのよ!?
満月の色は赤いのに黒竜池が光っていないってどういう事?
・・・・・・・・・・・・仕方ない。
ここはヒロインであるあたしが自らエレメントアースに行くしかないようね。
(現世のパパ、ママ。あたしは妖魔の王達に愛される為に・・・エレメントアースに行きます!!!)
決意したあたしは黒竜池に飛び込んだの。
※ゲームのアーデルヴェルトは母親と同じオッドアイを疎んじているので目隠しをしているし、姉弟揃ってセレスティを『お母様』『母上』ではなく『あの女』と言っています。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
黒竜池の先にあったのは豪邸のプールのような人工池だったわ。
池に落ちたのは幸運だったとしか言いようがないわね。
だって石畳の道だったら間違いなく落ちた時の衝撃で飛び降り自殺状態・・・スプラッター状態になっていたもの!
「何者だ!?」
「急いでアーデルヴェルト陛下に報告するんだ!」
兵士達は慌ててふためきながらアーデルヴェルトにヒロインが来た事を報告する為に王宮へと走って行ったわ。
う、嘘ーーーっ!!!
人工池までやって来た彼等を見てしまった思わず声を上げて驚いてしまったわよ!
だって、アーデルヴェルトだけではなくブラッドフォードにヴェルナーまで居たんだもの!!!
「あたしの本命はグレンヴァルト様なの!でもアーデルヴェルト!ブラッドフォード!ヴェルナー!あんた達も攻略対象者なだけあってハイレベルのイケメンだからあたしのハーレムに入れてあげるわ!!!」
突然の攻略対象者達の登場に喜んでしまったあたしは思わずそんな事を言ってしまったのだけど・・・・・・。
他の攻略対象者達がアーデルヴェルトのお城に居る事も疑問だったけど・・・アーデルヴェルトが目隠しをしていない?
アーデルヴェルトは自分の瞳が『あの女』と呼んでいる母親のセレスティと同じ色だという事実を疎んじていて普段から目隠しをしていたはずなのに!!
あれ?
あたし・・・何か変な事を言った?
兵士さん達だけではなく攻略対象者達も何か物凄く驚いている?
怒っていると言えばいいのかな?
恐怖が混じっていると言えばいいのかな?
驚きと怒りと恐怖が入り混じっているような顔をしているんですけど!?
何で?
何で兵士さん達に米俵のように担がれているの?!
あたしはヒロインでチートな聖女よ!!!
グレンヴァルト様から『聖なる乙女からの永遠の愛』を意味するローズマリアの名前を与えられる妃になるけど、あんた達もあたしのハーレムに加えてあげるって言っているのに!!!
えっ?
攻略対象者達はあたしを何で胡散臭そうな目で見ているの?
ヒロインがそう訴えているのにアーデルヴェルトは
『この女は家族しか知らぬはずの母上が人間であった頃の名前を知っていた。我等と敵対勢力にある者の間者で王太后である母上の命を狙っているのかも知れぬ。誰に雇われたのか?目的は何なのか?どんな手を使ってでも吐かせよ!』
って兵士達にあたしを拷問室に運ぶように命じたの。
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