魔法使いリセスとのんびり冒険ライフ~実はお姫様なんだけど秘密にして旅したい!~

九兆

第1話 リセスとの出会い

 場所:ギルドの談話室


 SE:リセスが歩いてくる音

(机の前で立つリセス)


「初めまして。魔法使いのリセスといいます。この度は遠路はるばる、私の為にお越しくださり、心より感謝いたします」


(頭を下げて礼をするリセス)


「私の旅に協力して頂けるということで、 大変恐縮に存じます。ご依頼したからには勿論、道中でアナタ様の安全をお守りするとお約束しますので、何卒なにとぞ……」


「……ふぇ?」


 SE:動揺してイスに当たる音


「……え? あの……その……何か私、変なこと言いましたか? 仰々ぎょうぎょうしすぎる? もっとフランクでいい? え? あ、あれ?」


「(小声で)あ、そっか。ここもうお城じゃないからお姫様として話しちゃいけなかったんだ!」


「コホン(咳払い)」


「え、えっと。今回は私の旅に同行して頂けるということで、心より感謝……じゃなかった。ありがとうございます」


「え、あ、はい。座らさせて頂き……座ります」


 SE:椅子を引いて座る音


「えっと、今回アナタ様にご依頼する内容を改めて説明させて頂きます。今居るオーギ王国から、東の果てのコスヒ海岸にまで行くのが目的となりますので、その道中のサポートをよろしくお願いします」


「はい、馬車での移動とか、旅のガイドとか、出来れば料理とかテントなどの準備などもお願いしたいかと……(段々と小声)」


「その代わり、旅の途中で危ないことがあったとしたら、私が戦いますので! そこは安心してください」


「……え? 魔物と戦えるかどうか心配ですか?」


「ふふーん、でしたら。早速、私の実力を見て頂きたいと思います」


「ですので、とりあえず詳しい話は国の外

に出てからということで……あ、そうでした」


 SE:硬貨が大量に入った袋を机に置く音


「こちらが今回の旅の報酬となります。それでは――」


 SE:金貨袋を持ちリセスの手を引っ張って外へ走る音


 場所:城下町


「え、え、えっ。ちょっと。どうしたんですか? ……え? ギルド内では大金をいきなり見せびらかすのは良くない? ……あ! そうなんですか?! 先にお渡ししないといけないと思って……つい……」


「仕事を引き受けてくれるんですね。ありがとうございます」


「あの……それでは、これから短い間ですが、一緒に楽しい旅を歩めるようお祈りします」


「ガイドさん。不束者の私ですが、どうかよろしくお願いしますね」


「(小声)……これも変、みたいですね。庶民……普通の人の喋り方って難しい……」

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