安眠ソーダ
天川裕司
安眠ソーダ
タイトル:安眠ソーダ
「…………クソ、今日もかよ…今日も全然眠れんわ!」
俺は今、不眠に悩まされていた。
正確にはいわゆる不眠気味だろうが、
寝てもほとんど睡眠時間を取れておらず、
俺はホトホト弱っていた。
「はぁぁ…。どうすりゃイイんだよこんなの」
自律神経の働きはまったく人の力を超えている。
自分でコントロール出来ない。
普段、人はあまり考えないことだが、
この自律神経の働きがどんなに大切か、
それが損なわれ始めてから初めて気づくのだ。
(帰り道)
「うぅ〜〜疲れたぁ……」
大した仕事はしてないけど、
とりあえずその仕事を終えて帰り道。
横を見ると見慣れない薬局があるのに気づいた。
「…あれ?いつの間に出来たんだ…?」
その看板にはデカデカと、
「不眠に即効で効くお薬あります!」
と書かれてあった。
それに釣られて入る俺。
若い女の店員だった。
「あのー、不眠に効くお薬ってあるんですか…?」
店員「あ、はい♪ございますよ」
店員は早速その薬を持ってきた。でも見ると…
「え?コレ??」
店員「ええ♪こちら『安眠ソーダ』と言う商品名でして、あらゆる眠剤の良いトコ取りをしたようなお薬なんです」
「でもソーダって…w」
店員「まぁ確かにwちょっとお薬の名前にしてはアレですよね。でも本当に成分としては他の眠剤と同じようなものが含まれてまして、特にこのナナフシって言う成分が即効性を高めてくれるんです」
「……へぇーそうなんですかぁ」
眠い頭だったからまともに考えられない。
眠いのに眠れない。
この歯痒さがその時の俺を突き動かし、
「じゃ、これください」
と速攻で決めてやった。
もうなんでもいいや、効くんなら…
のやぶれかぶれもちょっと入ってた。
(自宅アパート)
「…こんなの買っちゃったけど、ほんとに効くんかなぁこれ。…チッ、騙されたかも」
ほとんど期待はせずに薬を飲む俺。
と言うかほんとに
ジュースのソーダを飲んでるような感じ。
「ゲプ…ふう。眠れたら御の字だな」
期待してやっぱり無理でした、
じゃ、今の俺には結構ショックが大きい。
だからなんとなく飲んで、
いつものようにベッドに寝転がる。
「はぁーーー、体は疲れてんだけどなぁ…」
でもしているうちに、
「……ん、これってもしかして…」
本当に久しぶりに、
本格的な睡魔がやってきてくれたのだ。
「……効いてんのかな…」
とりあえず目を閉じ、眠りの態勢に入る。
すると本当にいつの間にか寝ていたようで、
次の朝起きると快眠だった。
「……寝れたよ。…オレ寝れた!やった…やっと寝れた…!」
もう万々歳だ。
これまでまともに睡眠を取れていなかった分、
その朝はすこぶる調子が良かった!
「安眠ソーダ、また買ってこよ!じゃ、行ってくるかな♪」
久しぶりに、軽い足取りで職場へ向かう俺。
帰りにはあの薬局へ寄る予定にしていた♪
(部屋のベッドでずっと寝たきりの彼)
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=Arc4tVR-6YI
安眠ソーダ 天川裕司 @tenkawayuji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます