魔法少女のおっぱいを揉みたすぎて怪人になってしまった

あぽろ

第1話 おっぱい怪人

 数十年前に突如として街中に現れるようになった怪人。彼らは人の欲望が異常に肥大化することで変異した姿であると言われている。黒一色の体を人型にかたどった彼らは、己の欲望のままに行動し他者を顧みることなどない正真正銘のバケモノである。

 常人を遥かに凌駕する力を持った彼らによって人類は蹂躙、淘汰されるかと思われたが、実際のところそうはならなかった。


 ほとんど時を同じくして、後に魔法少女と呼ばれることになる少女たちが現れるようになったのだ。

 不思議な力を扱う彼女たちの活躍によって怪人は倒され、街の平和は今日まで守られてきたのである。


 俺、籾杉もみすぎ志抱しだきは怪人である。

 それも通常の黒一色の怪人ではない。帽子に仮面、マントを身に着けている。

 特殊個体、通称『固有種ユニーク』。通常の怪人よりも強い力と特殊能力を持つ突然変異の怪人である。


「怪人さん! 今日こそは覚悟してください!」

「ふっ、今日もまたやられに来たのかな?」


 そして今、俺の目の前には魔法少女がいる。

 魔法少女ルビー。髪は赤のサイドテール、白地に赤のラインが入ったレオタードの上から胸元や腰をフリルで覆うコスチュームを身にまとう魔法少女である。

 ルビーはこの街の担当であり、この街に住む俺とは既に何度か戦っているが、俺は未だ倒されたことがない。


 彼女は武器である魔法のステッキを片手に、油断なくこちらを見つめている。


「き、今日こそは負けません! やあぁっ!」


 先に動いたルビーがステッキから魔法の弾丸を放つが、俺はそれを腕で弾いていく。怪人の中でもとりわけ高い能力を持つ俺の体が傷つくことはない。


「いつもと変わっているようには見えないけどね、ルビーちゃん?」

「やはり遠距離攻撃は通じませんね……それなら!」


 今度はステッキに魔力を込めた殴打を狙うルビー。

 ルビーは遠距離攻撃よりもスピードを活かした肉弾戦を得意とするが、残念ながら俺も近接戦闘タイプである。

 ステッキを腕で逸らし、続いて繰り出される蹴りを躱す。そしてカウンター気味に左足を打ち込む。


「あぐぅ……!」


 ルビーは華奢な体をくの字に折りながら吹き飛ぶが、空中で体制を立て直して着地、再び向き直る。

 魔法少女のコスチュームは魔法によって構成されており、見かけによらずかなりの防御性能を誇る。

 しかし、そもそも実力では圧倒的な差があり、本来ならそのまま追撃を入れて倒せるところである。

 しかし、俺は敢えてそうしない。そもそも倒そうと思っていないからだ。


「やはり強い……」

「うーん、いつも通りって感じだったね。そろそろ終わらせようかな」


 そして俺は戦闘をしたいわけでもないし、少女を痛めつける趣味もない。

 さっさとこの戦いを終わらせるべく、全力で地面を蹴って加速。魔法少女の強化された視力をもってしても捉えられない程の高速移動でルビーの背後を取る。


「それじゃ、今日も失礼して……」


 そして、彼女の胸に手をかけ、揉みしだく。


「ひゃあっ」


 思わず声を上げるルビー。


「ふむ、甘美。実にいい。やはり君のおっぱいは至高だ……」


 体のラインがよくわかるコスチュームを大きく押し上げるそれは、彼女の華奢な体に似合わずなかなかのサイズである。

 それにルビーはまだまだ成長期……前より少し大きくなった気がする。


「や、やめっ……!」


 ルビーは必死に抵抗するが、パワーで圧倒的に上回る俺の拘束を振りほどくことはできない。

 そのまま俺は胸元を隠すフリルの下に手を潜り込ませ、レオタードの上から胸を揉む。薄い生地から柔らかな感触が手に伝わってくる。

 自分の顔がにやけていくのを抑えられない。無論、仮面をつけているからルビーには見えないが。


「いやっ、離してっ!」

「嫌だね。折角ルビーちゃんの極上おっぱいがこの手の中にあるんだから、もっと楽しませてもらうよ」


 それからしばらく、俺は彼女の胸を揉みしだき続けた。なお、これ以上のことは何もしない。俺の目的は凌辱でもないからだ。

 おっぱいを揉む手が止まらない。あわよくばずっと揉み続けていたいとすら思えるほど、快楽が俺の脳を刺激している。


 しかし、それもやがて終わりを迎える。

 魔力切れによって変身を維持できなくなったルビーは意識を失い、黒髪ショートボブに制服姿の普通の少女に戻ってしまった。


「……今日はここまでかな」


 力なく眠るルビーを近くのベンチに寝かせ、自身の変身を解く。

 身に着けているのは彼女と同じ高校の制服である。


「しっかし、同じ高校の後輩の胸を揉みまくるというのはなんだかなぁ……」


 若干の気まずさを覚え、頭を掻きつつ俺は公園を後にする。

 しかしそんなものは、怪人としての本能を抑えるには至らない。


「ま、やめないけどね」


 俺は魔法少女のおっぱいを揉みたいがために怪人になった、おっぱい怪人である。

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