転生したら魔女の娘になりました

らいとっと

第1話 始まり

 「先生。これ…今月分のお金です」

 「…今月はこれでいいわ。来月もよろしく」


 私の名前は真夜。

私は両親にネグレクトされ、5才の頃から児童施設で生活をしていました。


 当時、ご近所さんが警察に通報した事で両親からの虐待、育児放棄から助かる事ができた私は…そのまま児童施設でお世話になる事になったのですが…施設内でもまた毎日イジメられ、いつの間にか私はいつも暗い表情のまま笑うことすら出来ない内気な子供になっていました…。


 毎日続くイジメっ子による嫌がらせ…。そんな私を見兼ねた先生(職員)は時間を作り、私を庇う様に自分の部屋へと私を招待してくれてまで相手をしてくれるようになった…。


 そんなある日、先生から新しい子がこの施設に入ってくると聞かされた。

 次の日、先日聞かされていた通り…この施設に新しい子が入って来たのだが、私より1つ年下の小さな女の子だった…。先生から聞いた話では、その女の子は夢ちゃんという名前で私と同じ様な家庭環境だったらしい…。


 先生に間に入ってもらい、私と夢ちゃんはすぐに仲良くなる事が出来た。それからの私と夢ちゃんは何処に行くにも二人一緒に行動するようになり、夢ちゃんが一緒にいるからか…イジメっ子も私より小さな夢ちゃんと一緒にいる時は、私をイジメて来る事はなかった。

 先生に庇ってもらい、さらに夢ちゃんと出会えた事によって今まで辛く苦しい事しかなかった私の人生も…「やっとこれから楽しくなるんだ」と思えるようになっていた。だが、それも長くは続かなかった…。


 この施設には月に一度、養子にしようと施設の外から来る大人の人たちと出会う機会がある。見ず知らずの夫婦の目に止まった夢ちゃんは、その日に養子にされる事が決まり、この児童施設を出る事も決まってしまい…お別れしてしまったのだ…。

 夢ちゃんと一緒にいる事で、今まで沈んでいた私の気持ちも何とか出来ていたのだが…。


 悪い事は続くようで…夢ちゃんとお別れしてから数日が経った頃、私の恩師とも言える先生が母親が危篤との手紙を受け取り、実家に帰る事になった。先生はすぐに帰って来るよと言っていたが…。


 しかし、待っても待っても…先生がこの児童施設に帰って来る事は無かった…。


 児童施設は先生の代わりに、代理先生が来てくれたが前の先生とはまったく違う考え方の人のようで…子供たちが何をしようと放任する人だったため、私はまた毎日イジメられ始めた。


 毎日のイジメに我慢して、先生が帰って来るのを待っていた私。我慢し続けていると、いつしか…半年、一年と月日が流れ…私は6才の小学生になっていた…。


 この児童施設は資金があまり無いらしく、前の先生は借金をしてまでこの施設で暮らす子供たちのためにお金を工面していたのだと、借金を返し終わるまでは帰って来れないだろう…。と代理先生から教えてもらう機会があった。


 毎日、毎日繰り返し…ずっと暗い顔で笑う事もまた出来なくなっていた私は、学校でも施設でもイジメられ続けていた。そんなある日、私にもとうとう精神的に限界が来たようで…。平日の夕方の学校からの帰り道、唯一私がホッと一息つける時間にそれは起こった!


 「何で…私ばっかり…もう嫌〜!」


 その日、学校でも一緒の施設から来ているイジメっ子からイジメられて帰っていた私は、ついに!パニックを起こし…ボーッと上の空の状態になり、フラフラと赤信号の交差点に向かって歩いていた!

 ボーッと赤信号の横断歩道を歩き出す私。その横からは自動車が私に向かってきていた!私はそこで意識を無くす事になった!

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