愛を知らない貴方へ
風宮 翠霞
第1話 犠牲の上で
明るい太陽の光が、大地を力強く照らす。
家族におはようと挨拶をし、行ってきますと言って仕事に行く。
嗚呼、なんて素晴らしい一日なんだろう。
嗚呼、なんて……気持ち悪いんだろう。
一年前。
太陽が隠れ、病による突然死が流行り、世界は
たった一年で、人々はその暮らしを立て直した。
一年前に“神の奇跡”と呼ばれた現象によって、世界は元に戻ったから。
でも、その裏であった事を。
皆が、知らない。
皆が、気がつかない。
いや……
皆が、知らないふりをしている。
皆が、気がつかないふりをしている。
「王国の
王太子の婚約者が、何故か急に変わった事に。
平民、貴族、王族……生きとし生ける全ての人間が、彼女の死を。
彼女の
表向き、とても
あの日彼女に問うた言葉には、いまだに答えが返されていない。
私に出来るのは、推測する事だけだ。
ただ、それでも……命懸けで守ったこの世界を壊す私を、貴女は許さないのだろうという事だけは、痛いほどにわかった。
「私は、貴方の従者ですから」
それでも、私にはもう……こうするしか方法が残されていなかった。
あの日嘆いた言葉を、貴方に誓った言葉を、嘘にしない為に。
次の更新予定
愛を知らない貴方へ 風宮 翠霞 @7320
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。愛を知らない貴方への最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます