第七章 エロンプ・ルイユ

第28話 トリックアー塔【1F】マジックミラー

=====前回のぼうけん=====

 ヨーボとウラナの縁談のために【トリックアーとう】の【レーの鏡】を探しに行くことになった僕達。ヌイーダとウラナを【けいかんの町】に残して、僕らは塔へ向かった。この塔には可愛い赤毛の魔法使いが住んでいるらしい。他の3人は既に相手がいるので必然的にその相手は僕になることだろう。ぐふふ…楽しみだ。


ジュード「どうしたアルフ、大丈夫か」

=================


ヨーボ「トリックアートは作者の趣味領域のようじゃ。1Fと書いてあるが、一体何階まで登らなくてはならぬのやら、先が思いやられるわい…」

僕「ここから急に1〜10階、11〜20階とか章立てされてトリックアーとう短編集になるとかやめろよ、マジで」

ヨーボ「お、アルフ、こっちの世界が少しわかってきおったの」

僕「ヌイーダがいないから僕がやるしかない」


―フィールド―


 僕、ヨーボ、ジュード、ニコルの4人は、ウラナの故郷【けいかんの町】から南東に行った岬の【トリックアーとう】に辿り着いた。全面が輝く鏡の様な素材で作られた建造物が高くそびえ立っている。ニコルは謎の鍵を使って塔の扉を開けた。


僕「なんでニコルが鍵を持っているんだ」


ニコル「え?ここはネバールの民が管理している美術館だからねぇ。といっても、最近は手入れが行き届かなくて、魔物が住み着いているみたいだけど」


僕「ニコルはネバールじゃなくてシバールの民だろ」


ニコル「うん。でもネバールを出る時、チョーロから村が管理する全ての建造物を開錠できるマスターキーを預かったんだよぉ。」


僕「嘘だろ…初対面なのに…ネバールの民チョロすぎだろ…」



◆◆


―トリックアーとう 1階―


ジュード「なんだ…?この塔。魔物も出ないし、楽勝だな。」

ニコル「でも、なにか変だと思わない?」

ジュード「あぁ。鏡っぽいものがそこらじゅうにあるが、俺らの姿は映っていない」

僕「トリックアーとうってくらいだからな。おそらくマジックミラーのようなものだろう。こちらからは何も見えないが、向こうからは僕らが見えているという仕組みだ。」

ジュード「向こうからは見えている?魔物に見張られているってことか…。」


…ドンッ!!!!

ジュード「いってぇ…なんだ?壁か…??」

僕「鏡っぽいもののせいで広く見えているが、実際は狭小な空間だと想定される。周囲に注意しながら歩け」


ニコル「ねぇねぇ、こっちには本物の鏡があったよぉ!見てほら、が太くなったり長さが変わったりするぅ~❤︎」

ジュード「おいバカ…!!変態…!!」


僕「安心しろ。ニコルが言っているのは凹面鏡おうめんきょう凸面鏡とつめんきょうの事だ。凹面鏡おうめんきょうとは、鏡が半球型だとするとへこんでいる側の方のことで、物体を大きく見せる性質があり、顕微鏡などに使用されている。凸面鏡とつめんきょうとは逆にでっぱっている側の方の事で、通常より広い面積を映し出せる。道のカーブなどに取り付けられている鏡はこっちだ。従って、ニコルが大きく見える鏡は凹面鏡で…」

ジュード「でたよ、アルフ得意の"冒険に役立たない知識"。ってか、それだと俺が想像した”アレ”を映した場合でも同様の現象が起きるってことだよな。やってみていいか?」

僕「やめとけ」


ニコル「アルフ~!すっごぉい!このヘンテコな塔ならもしかすると、アルフが主役で最上階までいけるかもしれないねぇ❤︎」

ヨーボ「そうじゃの。」


ニコル「あっ…!!!!」

ジュード「どうした、ニコル。」


 僕らの姿の映らない鏡の向こうに、久々に見るトリネコの姿があった。セクシーなコスチュームで完全武装したトリネコがニコルを誘惑している。


トリネコ「あぁ…ニコル様…❤︎会いたかった❤︎」

ニコル「ネコぉ〜!!!どうしたの、そんなカッコしちゃって…❤︎」

トリネコ「ニコル様に見せたくて作った新作衣装なの。可愛いでしょ?…ねぇ、ニコル様はお仲間と一緒なの?ウチは今、1人プレイ中…早くニコル様と一緒に2人プレイしたい…❤︎」


 トリネコは鏡の向こうで、露出多めの身体をぴったりと貼りつけて舌なめずりをしている。


ジュード「ひ…ひとりプレ…!?」

僕「だ…騙されるな。コントローラーの数の話だ。」

ジュード「コ…コントローラー!?!?」

僕「エロに支配されるな。落ちつけ!」


ニコル「ええっ…もうっ…❤︎」

トリネコ「ニコル様、ここがなんの塔かご存じでしょ?早く真ん中ののところまで行きましょ❤︎みんなには見えないわ❤︎」

ニコル「えへへぇ~❤︎じゃあ早くそこから出てこっちにきてよぉ〜!!」


 ニコルは かがみにへばりつき はぁはぁ している!


ジュード「やばいっ!!パーティの頭脳が!!!なんてこった…おいニコル!しっかりしろ!!!!!」

僕「ニコル!マジックミラーは外からは何も見えない。こちら側にもトリネコはいない。それは偽物だ!騙されるな!」

ヨーボ「真性の変態にこの状況で何を言っても無駄じゃ」

ジュード「お前に言われたくないと思うぞ…あれっ、なんかヨーボのおかしくないか…?」

ヨーボ「…気にするでない。凹面鏡に映っておるだけじゃ」


ニコル「ボクはこのまま見えててもいいんだよぉ❤︎さぁ、見せてごらん…」

トリネコ「だめよ…そんな…❤︎あ…ニコル様…」


ジュード「……うぁああ!!やばいやばいっ!!!!(汗)ダメだダメだっ!!!俺はっ…!!!ねぇさんを迎えにいくんだっ!!!さ…先に2階に行ってるからなっ!!!おまえら、早く来いよっ!!!」


僕、ヨーボ「おさまったら行く」(ガン見)











 












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る