第12話 ねとりのしょ

===前回のぼうけん===

 インチキくささMAXの「ダーマシの神殿」は本物の公共職業安定所ハローワークだった。ヌイーダは【ぶとうか】から【バトルマスター】に無事転職し、ヨーボも【あそびにん】から【けんじゃ】へ転職…するはずだったが、なぜかヨーボは【あそびにん】の姿のまま戻ってきた。

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ニコル「ヨーボ、なんで賢者様に戻れなかったのぉ?」


ヨーボ「わしがあまりにも転職を頻繁に繰り返して遊んどるもんじゃから、前に転職したときに、次からは【ねとりのしょ】をもってこないと受け付けないという、転職禁止令が出されたのじゃったよ。すっかり忘れておった。」


僕「【ねとりのしょ】…!??ヨーボのもってるエッチな本の中からチョイスすればいいのでは?」


ヨーボ「違うのじゃ。【ねとりのしょ】は世界に2冊しか存在しない幻のエロ本じゃ。今は、ボンキュール城で荒稼ぎしているトリネコという転売ヤーが持っているらしい。」


僕「え!?じゃあまさか、そいつから本を手に入れるまで、ヨーボは永遠に遊び人ってことか?」


ヨーボ「そうじゃの。」


ヌイーダ「足手纏あしでまといにも程があるわね。スポンサーじゃなければ、早々にお引き取り願うところだったわ。」


ニコル「それじゃあ、早くトリネコを探しに行こうよ。本が人手に渡ったらさらに探すのが厄介だし。長旅になりそうだから、アルフとジュードの装備を揃えないとダメだねぇ。アルフ、473ゼニーあるでしょ?ジュードも、ここへ来る途中、バトルでゼニーを手に入れたよね?」


僕「う…ううっ……呪われてまで手に入れた僕のお小遣いが……」


ジュード「くそっ…俺の不良セット装備が…」


僕「ワルのほうじゃなくて、文字通りの不良装備な…」


ニコル「喋ってないで早く行って。今すぐ。」


僕「ううっ…(泣)」



◆◆◆



 ジュードと僕はダーマシ神殿の地下で装備を新調した。



●アルフ:ゆうしゃ・LV1

装備:しんぼう(30ゼニー)、こうふく(10ゼニー)つみたて(1ゼニー)、かわののろい(5ゼニー)


●ジュード:せんし・LV14

装備:これでどうのつるぎ(150ゼニー)、こうふく(200ゼニー)、ほたて(120ゼニー)、せいのーのよろい(250ゼニー)



ニコル「ネーミングはともかく、気合いの入り方の違いが一目でわかるねぇ~…」


ヌイーダ「えーと。装備する前に一旦、購入先と内容の説明をしてくれる?」


ジュード「地下の武器屋と防具屋で、手持ちのゼニーを使って買える一番いい装備を買ったぜ。【これでどうのつるぎ】は、【は?どう?のつるぎ】よりはランクが上だ。【こうふく】は、着ると幸せ度が少しだけ上がるらしい。【ほたて】は、帆立の貝殻でできていて意外としっかりしている。【せいのーのよろい】は、見た目より性能がいいらしい。どうだ、なかなかイケてるチョイスだろ。」


ヌイーダ「えぇ。で、アルフは?」


僕「武器屋と防具屋で、がまんの【しんぼう】、あきらめの【こうふく】を、愛と信頼のゼニー銀行で口座開設して1ゼニー貯金した【つみたて】、地下をうろついていた行商人が破格で販売していた【かわののろい】だ!!473-30-10-1-5=残り427ゼニー!!いい かいものだったよ。」


ヌイーダ「アルフ、あんた、一旦シメないとわからなそうね…。」


僕「えっ…??」


 ヌイーダのひたいの血管がボコボコと浮き出ている。

 直後、ダーマシ神殿の地下に僕の悲鳴が響き渡ることとなった。











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