転生Ωはイケメンα達に溺愛されます
橋本衣
第1話 退職からの転生
「辞めさせてもらいます!!」
大きい音を鳴らしながら、退職届を部長の机に押し当てながら、言う青年。
目元は隈が濃く現れ、少々痩せこけており、目には光が入っていない。今年で26歳になる青年は、一世一代の大きな決断をした。
青年の名は
優愛の発言を聞かされた部長は、フラフラと震え、すかさず声を荒げた。
「何を言ってる!お前が辞めたら、どうするんだ!他の奴らが迷惑するわだろ!!?」
「んな労働環境にしたアンタらに問題があんだろ?今の俺には関係ありませんから」
「従って、俺は溜まりに溜まった有給を取った後正式に退職させてもらいます」
と、喚き散らす部長を横目に帰り支度をしながら、冷めた目で部長の顔を見ながら、淡々と物事を言う優愛。
辞めるからなのか怖いものがなくなり、言いたい事は全て言う顔をしている。
「な、何を!?」
「あ、因みに、退職届の受理を行わなかった場合、今までのパワハラ、モラハラの証拠や職場環境の問題全てを労基に伝えさせて貰いますので」
そう言いながら、扉を開けて一礼した後、出て行った。
出て行ってすぐに部長は顔を真っ赤にしながら、またまた声を荒げた。
「ふん!お前が居なくたって、この会社は困らないからな!」
「せいぜい、再就職に困っとれ!!」
「(暫くは療養するっての、お前のせいで此方がどんだけ
そう心の中で愚痴を言いながらも何処か顔は晴れやかな優愛。やっと約3年間の牢獄からやっと出れたのだ。嬉しさは最高潮であろう。
「とりあえず、今日は沢山寝よう、後行きたい所行って、好きな物を好きなだけ食べようかな」
楽しそうにこれからの事を考えながら帰路に着こうとしていた矢先、目の前の公園からボールが飛び、道路に転がって行った。それまではまだ良かった、だが次に公園から出て来たのは、
「ボール待って〜」
そう言いながら道路に落ちたボールの所に行こうとする5、6歳の少年が居たのだ。
「?、後ろから車の音?、、、、!?」
車の音がし後ろを振り向けば、大型トラックが着ていたのだ。そして最悪な事に、ボールを拾ったばかりの少年はトラックに気付いてなく、トラック運転手もまだ気付いていなかった。
この事に気付いていたのは優愛、ただ1人だった。
「(ヤバい!早く助けなきゃ、でも足が動かない、それに死ぬかもしれないし、でも、でも)」
頭の中で色々な葛藤があり、せっかく退職届を出しこれから色んな事が出来ると心を躍らせていたのに死にたくはないと思っていた優愛。だが、気付けば優愛の足は動いており、少年を抱える様に抱きしめ動こうとした瞬間、目の前にトラックが現れ、すぐに少年に当たらない様に背を向けたかと思えば、鋭く鈍くそして大きな事が周囲に響いた。
ドンッッ!!
キャー! ワー!!
「誰か轢かれたわよ!!」 「ボールを拾うとした男の子を助けたみたい!」 「大変、血が大量に出てる!」 「誰か救急車!急いで!!」 「おい、トラック運転手出てこい!てか、コイツ酒飲んでるぞ!」
周りの人々の大きく焦った声が優愛の頭に響く。
「(、、、、でも、今ここで助けなかったら一生後悔する!後悔したまま死にたくない!死ぬならこの子を助けて死んだ方がマシ!、ま、死なないのが1番だ!)」
「(てか、ヤバいかも、頭から血出てるみたいだし、全身に力入らんし、呼吸しずらいし、目とか見えなくなるし、、あぁ、ヤバい、、、これは死ぬかもなぁ)」
「死ぬん、だっ、ら、、か、ぞく、にま、たっ、あい、たかっ、、たな、、」 ガクッ
最後にそう言って目を閉じ
はずだった。
「、、、、此処何処?」
死んだはずの俺は目が覚めたかと思えば、真っ白の何にもない空間に居た。血だらけで怪我もしていた身体は何ともない無傷だった。
「マジ、此処何処?、俺死んだはずだよな?」
頭を掻きながら、困惑していると何もないところから人が一瞬で目の前に現れた。
「此処は、死後の世界と言えば良いのかな?」
「!!?!?、だ、だ、だ、だ、誰?!?」
「あ、ごめんね?急に、僕はシエル。君の世界で言う天使かな?いや、大天使かな?」
「シエル、大天使、、(胡散臭いな)」
「その顔信じてないね?!なら、これならどう?」
そう言ってシエルは最中から真っ白大きな羽と頭には黄色く光る輪っかが出て来た。良く良く見ればシエルはスタイルも良く金髪碧眼それに、女性とも男性とも捉える事のできるフェイスに口調。
それにこの空間もあり、その情報だけでシエルが天使だと認識出来た。
「これで、僕が天使だって分かってくれた?ねぇ?ねぇ?」
「、、、、それで、俺死んだんですよね?なら、さっさと天国でも地獄でも連れてって下さいよ」
そう俺が言うと途端に思い出したかの様に笑顔のまま顔が真っ青になり、汗がダラダラと流れ落ち始めた。
「、、、、どうしたんです?」
「いや、その、あのね?」
「君に言っておかないといけなかったんだけどね」
そう言いながら正座をするシエル。その顔は真剣な顔をしていた。
「そのあのね、君の死はこっちでは予想外の出来事なので、君は天国にも地獄にも行けないんだよね〜」
「は?、、、、はぁ!!?!?何で!!?」
シエルの言葉で大きな声を出してシエルの着ていた服の襟に掴み掛かった俺。弁明しようと手を上げて落ち着かせようとしてくるシエル。
「ごめん、本当にごめんなさい!此方としては不手際というか本当に予想外な出来事で、受け入れ態勢が整ったないの!」
「したがって、優愛君には違う世界、異世界に転生して貰いたいんだけど!!」
「、、、、、、、、、、、、ぇ?」
シエルの言葉で一瞬混乱した俺は手を離して腕を組んで少し考えて言葉の意味を理解した。
「異世界?転生?」
「そう、僕が管理してる管轄の異世界があるから、そこに転生して貰いたくて、」
「、、、、異世界って事は魔法とかある?」
「勿論、魔法とかあるし、時代風景的に言えばこっちの世界とは程遠いけど、それなりに発展してるよ。日本で言えば大正時代ぐらい?鉄道だったりはあるし」
「嫌なら、此方としては他の方法も考えるけど、てっ、優愛君?おーい?」
、、、、マジで?、えっ、て事は何?俺異世界に転生出来んの?、マジか。、、、、魔法とか使えるって訳ね、良いじゃん。使って見たい!それに記憶があれば結構発展とか出来そうじゃね?食べ物系とか!
んな、事を考えている俺、すぐに答えを出す。
「転生する。、今それしかないんでしょ?なら、それでお願い」
「フフッ 分かった。では転生の手続きを行います。では、転生特典として何か欲しい力を10つ言ってください」
「ならまず、元の世界のインターネットとかSNS、投稿とかは出来なくても見れたり出来る様にして」
「それと、元の世界の物、商品、何でも買える様に出来る様にして欲しいなと、後は全知全能?何でも分かる様にして欲しい」
「後は、後は、、、、、、、、」
********
それから10分弱シエルに欲しい力を言った。
「では、今から優愛君にはジーリン王国と言う大きな国に転生します。どの種族になるかは此方の采配になります」
「うん、シエルにお願いします。じゃ、その短い間だったけど、楽しかったよ。ありがとう」
そう言うと身体が光ってボロボロと消え始めた。これが転生の合図かな。
「はい、では新たな人生の幕開けです。楽しい人生に、そして良い友、良い伴侶に出会ってください。それでは」
身体が完全に消えようとした瞬間、シエルの言葉が微かに聞こえてしまった。
「優愛君の新たなご両親とご兄弟、幼馴染達は前と変わらずですから」
「ぇ、!まっ!」
言い切る前に完全に消えてしまい、転生してしまった。そして、少しだけ眠りに着いたのであった。
シエルの言葉の意味が分かるまで後、もう少し。
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