肝試し
ざくざくたぬき
肝試し1
本当に最近のことでした。
私を含め男5人の友人と公園で遊んでいたんですね。
サッカーや鬼ごっこ、たまにはそこに来る子達のおままごとや、かけっこ勝負なんかにも付き合っておりました。
ある日突然友人の1人のタケシが言い出すんですね。
「俺たちで肝試しをして、学校の英雄になろうぜ」
と。
今思えばなんとも馬鹿げたことです。
ですが子供というものは好奇心旺盛なものでね、みんな「やろうぜ」なんて言っておりました。
その中で私は1人だけ、心のなかでは反対しておりましたが、この中で仲間外れにされて、あとから馬鹿にされるのが嫌だったものですので、結局行くことになったんです。
そして次の日の夕方、地元で有名な孤児院だったもの(廃墟)に行ったんですね。
そこの噂がとても恐ろしくて、というのもそこの孤児院はまともに子供が育てられておらず、虐待なんて当たり前のところだったそうです。
廃孤児院になってからは、私たちみたいに肝試しで不法侵入する人が増えたため、禁止区域としてロープが下がるようになりました。
ですがそれから数年後、とあるカルト宗教が孤児院に乗り込んでいるのが目撃されたそう。(何をしているのかはわかりませんが)
私はそれを聞いて引き返そうと思いましたが、友達が「今はいないだろうから早く行って早く帰ろう」といいましたので、早く帰りたい私は渋々ついていきました。
孤児院の扉は意外と簡単に開きまして、下駄箱は無く、広間に繋がっていたんですね。
目の前には階段があり、道が左右に分かれておりました。
左には扉が1枚、右には両開きがありました。
さてみんなで行動しようと思いましたら友人が居なくなっており、広間に私1人になってしまったんですね。
私は友人と合流したく、まずは左の扉を探すことにしました。
左の扉を開けますと廊下に繋がっていてですね、そこまで長くもないので、突き当りに目の前に1枚の扉が見えたんです。
その扉を開くと脱衣所になっていまして、洗濯機の横に洗い桶が置いてありました。
すぐ横の浴室ドアに何やら動く人影が見えたんですね。
私は友人だと思い、「おーい」と声をかけてドアを開けたんですね。
すると案の定友人の1人のカナタで、なぜすぐに居なくなってしまったのか、と聞くと、
「すまねぇ。実は俺、怖くてね。早く帰れるならと思って、これからは一緒に行動しよう」
とその時、
トン
と広間の方から音がしたんですね。
私達は友人とすぐに合流したかったものですから、急いで広間の方へ走っていったんです。
広間の方へ行くと誰もおらず、右の扉ではないかと思い、扉方面に向かおうとしたその時、
「誰だ!」
と知らない男の声が聞こえたもんですから、私達は階段を駆け上り、すぐ見えた横の扉に入って、息を潜めることにしました。
私達が入った部屋は、ベッドが6つ、壁沿いに向かい合わせになっておりました。きっと寝室でしょう。私達は1番近いベッドの下に潜っていたんです。
しばらくすると階段を登ってくる複数の足音がしたので、みんな反対方向に行くことを願っておりました。
ですがそうはいかず、どうやら右の道と左の道で分かれたようです。
つまりどういうことかと言いますと、私達は左の1番近くの部屋に隠れておりますから、このままだとすぐに見つかってしまうんですね。
なのでなるべく息を殺してその時を待っていたんです。
すると扉が開きまして見つからないようより一層気をつけていたんですね。
そして大人が2人入ってきて、何かを話しながら部屋の奥まで行ったんですね。
それでそのまま部屋を出ていってくれればよかったものの、相手はとても丁寧な方でしたので、ベッドの下を覗かれてしまって、私とカナタはあっさり捕まってしまったんです。
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