第16詩 【都会音色】
風は
地に満てり
一心に鳴く鳥の姿も
緑に濡れて
雪のようにみずみずしい
騒々しい町中(まち)の緑樹は
当てもなく
天に伸び尽くしたことさえ忘れてしまったように
赤く悶えた顔を天に向けて
まだ伸びようという構えだ
町中(まち)の広がりは
何処か虚しく
まるで
どぐろをまいた蛇が
自分で絡まっていくような
野良犬同士で
傷つき合うような
変な業の跡が残っている
この騒(ざわ)めきは
なんて無頓着な騒々しさだろう
僕を半分土偶(でく)にする
時間や
言葉も
歪んでしまう
歩いている人の群れは
みんな人形(おもちゃ)のようだ
建物なんかは
蟻の巣だ
すると君
どうだい
人形遣いは誰かね?
女王蟻はいるのかい?
まあ、どうだい
風がひっきりなしに笑い始めたようだが
風はそれを
知っているのだろうか
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