第14詩 【牛のスケッチ】
海蒼の拡がる浜に居て
君はひどく重たげに腰を動かす
その額を包んでいる無力な空気は
手に触れるものに
優しく
瞳に映るものに
生温い微光を泳がす
日々、刻の中に暮らし
君にしかわからない
無限とも言える多種多様な夢を見る
今日のような暑く焦がれた太陽の下では
君は一人木陰で
身体ごと沈んでいる
眠って岩石化している君めがけて
蝿や小虫が数匹ひっついてくるが
鼻にひっつけば
君は鼻息荒く「ぐんが」と
くさめでもするように顔を歪(ゆが)め
瞳の辺りにひっつく小虫には
耳をはたはたと
蝶の真似でもするような仕草をする
背中がむず痒(がゆ)いときは
一振り尻尾を振るうし
君はいつも眠たいようだしさ
二本の角は
少し恐いぐらいに天を仰いでいる
このままの姿で
いつまで居たとしても
君も陽の沈む頃になれば
立ち上がるだろうし
牛車を引く必要のない君の気分は
星夜の涼しい浜辺の砂内に
ひとり落ち着いて
眠りにつくのだろう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます