第11詩 【ハンピ(デカンの風に揺られながら)】


もう、こんなにも


声など出ないでいるし


巨石の群がりは


すんなり天にのびていく



水辺のおたまじゃくしが


僕の気配に


一勢に足を動かし去った


そして一瞬に水が澄み切った



風の淀みを潜り抜け


空色に羽根を染めた鳥が


光ながら水辺に影を落とす



爬虫類の君は


まだ石の上にいる


まだまだ暫くは


石の中に腰など溶かしているのだろうと思えば


いつの間にか消えている



天の気配も雲の気配も巨石の気配も無くなり


僕だけが一人動いていく



ひどく静かで


何気ない音楽は


やっぱり太鼓の音のよう



  (雲をじっくり噛みながら

  誰かが光も風も空気も打ち鳴らし

  太鼓といっしょに

  こんなにも鳴り響けば

  もうとめようがない)



全体周りは巨石の群れだし


あの向こうの拡がり


そこに群れる巨石の一つには


縮れた鳥の羽根がついている



うむ


もうきめた


あの怪鳥のような巨石に攀(よ)じ登って


光と風の音楽を


この澄んだ透明な空が愉快に綴っていくのを


ひとりぽつねんと


眺めていよう



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