第11話 新たな出会い

あの出来事から数日、彼女からは毎日夕方にかけて2,3件のメッセージが届くようになった。


内容としては、学校での授業の内容がほとんどで、特にプライベートな内容に踏み込んでくることはなかった。

もちろん友達を作らずに高校生活を過ごしていこうと考えている僕が彼女にメッセージを送ることはなく、僕たちのトーク画面に表示されるのはとても淡白な内容だけだった。



5月が終わり週末が明けた6月の朝、いつものように登校してクラスに入り、自分の席に着席した僕のもとに何人かのクラスメイトが駆け寄ってきた。


「なあ、山神くんだよな?友達になろや!!」


突然のことで状況が理解できない。


今までも、僕と同じような陰キャらの子が話しかけてきてグループに入れてくれようとしたことはあったが、すべて断っている。理由は明確だろう。


そんな自ら好んで1人を選んでいる僕を周りはだんだん理解しているはずなのに、いまだにこうやって話しかけてくる奴がいるとは。参ったものだ。


「なんで?君たちと一切接点ないよね」

少し目を細めて、明らかにいやそうな態度で返した。


「まあそう固いこと言うなって~。なっ?」


「そうだぞ~!今日から俺ら友達な?」

僕のいやそうな態度と回答はものともせず、彼らは笑いながら笑顔でこう言ってきた。

やはり陽キャというものは怖い。


「いや、まだ何にも話してないのに友達って…」

状況に困惑しながら否定しようとする僕を畳みかけるかのように、彼らは食い気味に話し続けた。


「いや、もう友達って決まったから友達な?

俺は同じクラスの山下 哲也(やました てつや)。よろしくな」


「俺は霧谷 空(きりや そら)っていうから!」


「ってなわけで、昼は一緒に飯食うからまた話しかけるな!じゃ!!」


「ちょっと!!!」

困惑する僕とは裏腹に、彼らは楽しそうにニヤニヤしながら走って去っていった。


「それに昼って…」

昼は学校生活の中での唯一の休憩時間であり、最も貴重にしている時間だ。

体育館裏のくぼんだ部分で1人本を読みながら静かに過ごす時間は、僕が最も大切にしているものだ。

その時間がつぶされるかもしれないというのだから、今からかなり気が引けている。


「とりあえず無視するか」

冷静になった結果、急に来た見ず知らずのやつに付き合う理由もないので無視しようと心に決めたのだった。

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