第3話 ゲーマー暴走する

翌朝俺は時間ギリギリまで寝ていたせいか、サナに起こされてしまった。

 今まで俺は自分の力で起きることができていたのに今日は珍しいものだ。こういう日に限って何か良くないことが起こるに違いない、そう俺の直感が告げていた。


俺が起きて10分後に迎えの馬車が来た。なんでも王都に行くには馬車が1番早いらしい。俺はゲーム内は歩いて数分の距離だったからそんなに気にしていなかったが、いざ自分が馬車に乗るとなると少し緊張する。なんというか、落ち着かないというか、


俺とサナは馬車に乗った感想は二人揃って、『「すっごいふわふわ」』というなんとも言えない感想が出ていた。だって仕方ないじゃないか椅子がふわふわのふっかふかだったんだもの。という頬絵真しい会話の中で俺はサナとある会話をしていた。


「サナは側付き試験は大丈夫そう?」


『そ、それが、、実技は行けると思うのですが、、』


サナの話によるとこうだ、側付きと主人では配点が違く、主人は国語、数学、魔力理論の三つがそれぞれ100点満点ずつで採点され、側付きは、国語、数学、魔術理論、の他に、経済が追加されるのだとか、そこでサナは経済には疎くてわからないことが多いとのことだった。


「困った、俺も経済についてはさっぱりだ、そのほかの教科で満点を取るしかないな。」


『そんな、無理無理無理です!』


「やってみないとわかんないだろ?もし満点取れたらをあげるよ。』


何に食いついたのかはわからないけどサナは何故か顔を林檎のように赤くしてしまった。


『じゃあ楽しみにしてます』とサナもやる気になったっぽい。こんだけ話して少し疲れたので俺たちは王都につくまで少し眠ることにした。


『おぼっちゃま、王都に到着いたしましたよ』


あれからどれくらい経っただろうか、、俺たちは王都につくまで深い眠りについていたようだ。馬車の運転手さんによると3回くらい呼んだが全然起きなかったらしい。


「すみません!では行ってきます」


『合格することを心より願っております』と運転手さんの言葉を最後に俺たちは学校に向かって歩き出した。その道中、何やら騒ぎがあったらしい。俺が見に行くとそこにはパーティであろう四人の冒険者のうち三人がメンバーであろう女の子に暴行を加えていたのだ。


「おい!何をやっているんだ!その子を離せ!」


俺はその冒険者に向かって叫ぶするとその女の子も俺に気付いたのか、


『きちゃ、ダメ、逃げ、、』と言った。


その言葉は俺に届く前にかき消された。


『なんだお前この女の知り合いか?』


「いいや違う。あなたたちは何をしていたんだ。」


『俺たちはあの役立たずの女に俺たち王都最強の勇者パーティ、を抜けてもらったんだよ。あの女は力しか取り柄がないからな。スキルが弱すぎる。単純な身体能力強化なんて平民でもできる。

 だからあの女は俺たちに相応しくないんだ。そうだお前あの女が心配ならお前にやるよ。せいぜい雑魚同士で群れてなギャハハハ』


そう吐き捨てる冒険者に俺は我慢の限界だった。流石にそれだけで元パーティメンバーからこんな仕打ち受けていいはずがない。俺は俺個人としての怒りが爆発していた。


ーーお前に人を護る力が欲しいか、、自分が犠牲になろうと目の前の者を救う覚悟はあるか、、それがあるなら私はお前にをやろう。


怒りで頭が真っ白になっていた俺は心の中でそれを望んでしまった。


いいだろう貴様には古呪術とロストカース終時術エンドパラドックスの全てを伝授してやる。

 その声が頭に響いた瞬間俺の体は誰かに乗っ取られたかのように自然と体が動き出した。


俺は乗っ取られている感覚の中自分では何が起こっているのか全くわからない。

まるでもう一つの人格が現れたかのように。


俺には自分自身の姿が何者かわからなかった,それは髪色が黒一色から黒と毛先が少しワインレッドに彩られ,目の色は黒から赤色に,俺の手には黒く六芒星の紋様が入っていた。服装は変わらず黒のズボンと黒のブレザーに黒の革靴となっていた。今の俺を例えるなら,死神や悪魔の人間化,そう捉えていいだろう。


俺は抵抗できない中で一つ思い出したことがあった。それはさっき与えられた力のことだ。


俺が与えられた力はロストマジックと言われ伝説でしか存在しない者であったはず。ゲーム時代の俺ですら知り得ない逸品であった。


そんなことの束の間、俺のもう一つの人格(仮)が魔法を唱えた。


呪ノ審判カースジャッジメント

そう唱え終えていた。俺の前には巨大な暗黒空間が少しずつ広がって行った。その黒さは今までの被害者の怨念にも見えた。

それが冒険者にあと一歩というところで俺の意識は戻った。


『ご主人様!正気に戻って!!』そういう声が聞こえたからだ。


俺は急いで解除ディスペルを唱えた。俺の周りから空間は消え失せる。冒険者たちはというと俺たちにビビって失神していた。

幸いなことに俺たちと冒険者以外に通行者はいなかったため見られていないのが幸いだった。


俺は本題の女の子に話かけ、上級魔法の完全回復パーフェクトヒールを施した。

彼女の名前はイリスというらしい。見た目は15歳くらいの白緑色の長髪の少女でありながら、彼女はエルフであった。特徴的な耳が彼女をエルフであると一際目立たせていた。


俺たちは学校の試験に遅れそうだったので彼女に気をつけるよう促してその場を後にした。イリスは小声でまた会いましょうと言ってくれた。


そこからすぐに試験会場に到着した。遅刻しなくてほんとによかった。

えぇっと俺の受験番号は、、次じゃん?!よく見ると次の実技の試験者は俺の番に差し掛かろうとしていた。

 

俺は焦るように自分の試験番号を眺めながら、サナと別れ、別々の試験会場に向かっていくのだった。


俺に課せられた試験内容は以下のものだった。


1.試験官を30秒以内に倒せれば合格(10秒以内だと学力免除)


そう学力試験はこれだけなのだ。全員がそうなのだ,決して俺だけが特別ではない。なのでゲーム時代の俺は試験官を3秒で力で捩じ伏せていたが、今の俺には多分それはできないだろう。スキルが足りていないからだ。


そんなこと考えていると


『2168番試験場に入ってください。』と俺の番号が呼ばれた。


俺は運が悪かった。なぜか俺にはとても筋肉ムキムキのおじさんが来たからだ。

だけど俺はそんなことで諦めるほどやわじゃない。俺は拳に力を込めて、


「お願いします!」そう叫んだ。


威勢がいいな少年よならばこちらもとスキル身体強化を使ってブーストしてくる。


俺は一撃に全てをかけていた。俺はこの一撃で決めなきゃならないそんなプレッシャーが襲ってくる。だけど思い浮かぶサナの顔、俺はやる気が出てきた。


『それではよーい、、初め!』と開始の合図が出された。


向かってくる試験官に俺は拳に力を込め盛大に振りかぶった。すると


試験官は俺の拳が直撃し、そのあとは気を失っていた。俺はその原因に心当たりがあった。多分スキル超成長のおかげだろう。そんなことで一瞬で勝負が決まってしまった俺だったが、まさかの学校のレコードを大きく更新してしまった。


レコードは4.7秒に対し俺は2.1秒という2秒半も差をつけてしまった。

これにより俺の俺の学力試験は免除になった。また免除は少し悲しいような嬉しいような、、


一方サナの方も実技試験は18秒、学力試験は苦手と言っていた経済は93、それ以外は満点であったのである。


試験から二日後合格発表の日


俺とサナの名前が、掲示板の1番上に張り出されていた。俺は実技一位、サナは学力一位という素晴らしい結果だった。


俺たちは結果発表後この前助けたイリスの行方を探していたが結局見つけることはできなかった。仕方がないから帰ってきて家の扉を開けたら、イリスがいた。


「なんでイリスがここに?」


『あなたが落としたハンカチの薔薇の家紋をみてここだと断定したの、ごめんなさい。迷惑だったら私は出て行くからここに住ませて、お願い』


「ちょ、ちょっと待っていきなりで追いついてないけど、ていうかここまで歩いてきたの!?イリスが困ってることはわかるんだけど、いいよね父さん。」


『確かに困ってみたいだしな、よし、イリスちゃんと言ったかな、君がちゃんとした生活ができるようになるまでここに住んでもいい。もちろん労働は課さないから、自分の家だと思ってくれていいぞ。母さん今日はご馳走だ!新しい家族が増えたからな!』


と父さんと母さんは喜んで了承してくれた。


俺とサナとイリスは今日はいろんなことがあったと、思いつつ疲れたなぁと思い寝床につくのであった。


だけど今日は寝られそうにない、俺の昼間のロストカースとエンドパラドックスについて、ステータスみてみようと思い、【ステータスオープン】と唱えた。

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名前:ロイ・アスリアル


種族:ヒューマン 年齢:07


体力:3000


攻撃力1000


防御力:2000


回復力:1000


魔力1500


運気70


スキル

【貪欲】 【超成長】【言語翻訳】【文字変換&筆記】


魔法


基本魔法 全取得済 中級魔法全取得済 上級魔法全習得済


古呪術 全習得済 終時術 全習得済

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と結局昼間使った力がある。少しわかったのだが、カースシリーズは自分の内なる狂気(俺だったら死神の具現化)を技とする。破壊力が高い。


パラドックスシリーズは、空間系、たとえば時間や、概念的なものを具現化し、それを元に操り、戦う。もちろんカースと同じように見た目は変わる。

髪は白くなり、先端が水色になっており、目は水色、つまりカースとは反対色、つまり俺の中の善の心の具象化と言ってもいいだろう。


、、、どっちもぶっ壊れだな。そして俺はカースの時自分であの死神状態を操らねばならないが、いかんせんなんにもわからないので、ひとまずは眠りについた。


もっと知らなきゃ、研究を重ねて使いこなしてみせると考えているうちに

俺の意識は暗闇に吸い込まれて行くのだった。







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