犯罪都市で生まれたもの
いちのさつき
第1話 ある殺人鬼の思考と行動
個人的に人間は動物以下の存在だと考えている。生きることで精一杯の彼らと違って、人間は互いに潰し合ったり、資源を食いつぶしたり、汚したりする以外に能がない。考える力があるというが、そうとは思えない。
罵った声。泣き声。怒鳴り声。歌声。全てが騒音だ。どれだけ見た目が整ったところで、四肢を持つ針金のブツや埃を被った物体などにしか見えない。その中身は赤い液体があるのか、切ったら面白いぐらいに出てくる。
ひょっとしたら自分も含め、人間はゴミなのだろう。歪んでいると感じたことはない。何せ物心が付いた時からそうだった。
もしこの星から人間というものを消せるスイッチがあったとしたら、躊躇なく押す。しかしそれは現実に現れる代物ではない。だから今日も汚いこの都市で、ゴミというものを排除する。ゴミだらけの大道路にいる、ヒトの形をした物体二個の跡を追う。悟られることなく、透明の破片で切っていく。針金というものは固い。数秒でへし折る事ができないほどの固さを持つ。だからこそ、切る事で赤い液体を大量に出し、機能不全にさせる。ひとつ。ふたつ。目視でゴミの物体が倒れていることを確認する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます