僕の携帯、待ち受けは?
崔 梨遙(再)
1話完結:900字
何年か前、よく行く喫茶店でコーヒーを飲んでいたら、白人美女が飛び込んで来た。飛び込んで来た? そう、まさに飛び込んで来た! 彼女は飛び込み営業で店内に入って来たのだ。
持って来たのはケーキ。箱一杯。それを、“かわいそうやから”と、みんなで全部購入した。僕も、シフォンケーキを3つほど買った。僕の好みのタイプの女性だった。身長は165くらい。スレンダーではないが、スタイルも良かった。笑顔が素敵だった。ドイツ人と日本人のハーフで、日本語ペラペラだった。
僕達がケーキを買うと、笑顔を振りまいて爽やかな風のように去って行った。僕は、名刺をもらうのは忘れなかった。名前はイリスというらしい。勿論、僕の名刺を渡すことも忘れなかった。
僕は、イリスが忘れられなかった。しばらくして、ママさんの了承をいただき名刺の番号に電話してイリスを呼んだ。みんなで箱一杯のケーキを買った。僕もシフォンケーキを4つ買った。そして、僕は名刺の裏に書き込みをして渡した。“一緒に行きたい店があるので、今度、一緒に食事に行きませんか?”と。
そこで、ぼくはイリスと一緒に並んで写真を撮ってもらった。撮影はママさん。いい写真をとってくれた。
「この写真、待ち受けにしてもいいですか?」
「いいですよ」
それから、一度だけ会った。連れて行きたかったレストラン(フレンチ)に連れて行くことが出来た。店のことはとても気に入ってくれたが、その後でホテルへ……という展開にはならなかった。好みの美人と食事が出来た。それも良い思い出だ。
その、イリスと並んで撮った僕の待ち受け画面、何度かいい仕事をしてくれたことがあった。
僕はスマホの扱いが苦手だ。操作方法がわからず他人に頼む。その時、携帯を渡す。大抵の人は、そのまま携帯を使って操作してくれるのだが、たまに、“この女性って……崔さんの彼女ですか?”と聞いてくれる人がいる。“いえ……ただの知り合いですけど”。その時、相手はビックリする。そう、僕はビックリさせたいのだ。きっと、“こんな醜男に、こんな美人が?”と思われていることだろう。このイタズラ、このくらいなら罪は無いでしょう? え! ダメですか?
僕の携帯、待ち受けは? 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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