【ASMR】今宵、貸し切りの癒し空間『Bar HumHum』

世楽 八九郎

トラック1:初のご来店ですので、サービス!サービスですっ!【1杯目のハイボール】

(ゆったりとしたドアの開閉音、続くベル音)


「ご来店いただきありがとうございます。お好きな席へどうぞ」


(あなたは無人の店内を見渡し、バーカウンターへ足を向ける)


//困った声が遠のき、再び近づく

「あはは、さっき話した通り席は選び放題ですね」


//着席したあなたの正面から

「改めて……ご来店ありがとうございます。『Bar HumHumバーハムハム 』へようこそ」


(ビニールが裂ける音)


「おしぼりをどうぞ。お食事はお済とのことですが、1杯目はいかがいたしましょうか? はい、ではメニューはコチラになります」


(差し出されるタブレット)

(迷いのあるタブレットのタップ音とスワイプ音)


「オーナーの意向でお手頃なハイボールは各種銘柄を揃えております。お約束した通り1杯目はサービスさせていただきます」


(1杯目はハイボールサービスと言われて釣られたあなただったが、メニューを眺めてもイマイチわからない)

(目の前の声のいいバーテンダーさんにおすすめを尋ねる)


「おすすめですか? ん~」


(キレのあるスワイプ音)


//やや近くから

「スモーキーなタイプではありませんが、こちらなら間違いないかと」


(トッ、トッ、と軽いタップ音)


//独り言、初め驚愕きょうがくからやがて静かなつぶやきに

「あっ、こっちは値段が……」


(お手頃ではないらしいおすすめ銘柄とバーテンダーさんを交互に見つめるあなた)


//自分を鼓舞するようにヤケクソ気味で

「だ、大丈夫です! 初のご来店ですので、サービス! サービスですっ!」


(繰り返されるサービスの言葉にあなたは頷く)


//急速に冷静になって

「あっ、はい。かしこまりました。では……」


(酒棚からボトルを取りテーブルへ置く音)

(消毒アルコールの噴霧音に続く軽快な擦り込み音)

(グラスに氷を入れるカコン、カランという涼やかな音)

(バースプーンでグラスを混ぜるカロカロカロ……と氷の擦れる音)


//語り掛けているのか、独り言なのか、不明瞭な感じで

「……冷えたグラスの水を切って、こちらを注ぎます」


(コルク栓をギュッと握る音、キュポと開栓音が鳴りちゃぽんと液音が続く)

(ウイスキーが専用の計量カップメジャーカップに注がれる)


「ウイスキーを注いだら氷に馴染ませ……」


(バースプーンがカロカロと氷を回す)

(次に炭酸の入った缶のプルタブが引かれ、シュッ、と静寂に切れ間が生まれる)


//慎重に囁くように

こぉりを避けるようにソーダを……注ぎ……」


(パチパチ弾ける炭酸音を奏でるグラスにバースプーンが静かに差し込まれる)


「少しだけ混ぜる」


(バースプーンに持ち上げられた氷がこっ、こっ、と響く)

(スプーンを取り去ると彼女はメジャーカップを再びグラスの上で傾ける)

(そしてそれをあなたへと差し出した)


「お待たせしました。ハイボールです」

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