第24話 ローレベルな男のエンドレスエイト
田中はベッドに横たわりながら、天井を見つめていた。頭の中をぐるぐると同じ思いが巡る。過去の自分に裏切られたような気分で、次々と後悔が押し寄せてくる。彼が得た刹那的な快楽は、瞬間的には甘美だったが、その後に残るのは虚しさと自己嫌悪だけだった。
「どうして過去の自分は、あんな愚かな選択を繰り返したんだ?」
田中は、何度もこの問いを自分に投げかける。しかし、その答えはすでに知っていた。怠惰と誘惑が過去の自分を支配していたのだ。そして、それに屈したのは今の自分自身でもある。わかっていながら、彼はそのループから抜け出せずにいる。
「これじゃ、ずっと同じだ…」
田中はふと、スマホを手に取り、またSNSを開こうとする。指が自然とアプリのアイコンに伸びる。しかし、その瞬間、思わず手を止めた。これまで何度もこの誘惑に負け、無駄な時間を費やしてきた。これ以上は、さすがにもう耐えられない。彼は一度、深い呼吸をし、スマホを手から放す。だが、そのわずかな勝利感も、彼を満たすことはない。
「どうせまた明日も同じことを繰り返すんだろう…」
彼は自分に失望しながらも、どうしても過去の自分の行為から逃れられない。刹那的な快楽のせいで、未来の自分にどれだけの損失をもたらしたかを痛感しながら、それでも習慣化された怠惰に抗えない。
彼が今抱えている憂鬱感は、過去の自分が招いたものだ。田中は、自分を過去の選択から解放する方法を見つけられず、無力感に打ちひしがれている。もし過去の自分が赤の他人だったら、間違いなくその人間を憎むだろう。無責任で怠惰な行為の結果、今の自分が苦しんでいるのだから。
「もう、いい加減にしてくれ…」
田中は自分自身に向けた叫びを心の中で何度も繰り返す。しかし、彼は分かっていた。このままでは、未来の自分もまた、同じように過去の自分を憎むことになるだろう。今この瞬間に、怠惰と快楽に屈するなら、明日の自分もまた憂鬱な朝を迎えるだけだ。
だが、どうすればこの連鎖から抜け出せるのか。彼はその答えをまだ見つけられないまま、ただひたすらに過去の自分を責め続けるしかなかった。
「もう逃げたくない…でも、どうすればいいんだ?」
田中の頭の中でその問いが反響する。解決策が見つからないまま、彼は目を閉じ、今日もまた、快楽と後悔が入り交じる夜に突入していく。未来は暗く、彼の中に残るのは自分自身への失望と怒りだけだった。
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