ヤンデレ☆クリーク ~色々なヤンデレに攻められて囲まれて争われる共存戦争~
ドレミン
第1話 ある日の急展開
まさかの展開が起きた。
自分でも思うが俺はクラスで一、二を争う地味な奴だ。もちろんモテないし女子と喋ることすらままならない。
そんな俺がラブレターを受け取った。
あれは間違いなくラブレターだと思う。
今の時代になんだと言われるかもしれないが、ハッと気付いたら自分の机の中に手紙が入っていたのだ。
正直、イタズラだろうなって思ったんだ。俺にこんな手紙が来るわけがないって。男子か女子か知らないけど俺をなんとも思ってない奴が入れて、笑ってやろうなんて思ってるんだって思ったわけだ。
ついにいじめが始まったんだと最初こそ恐れおののいた。
ただ同時にちょっと期待してもいて、「もしかしたら?」なんて思ってしまう。
浅ましい俺はビビってるくせして無視できなかったのだ。
絶対違う。絶対ラブレターじゃない。行ったらただ笑われるだけだ。
そう思いながら手紙の呼び出しに応じて、入っちゃいけない学校の屋上へ行った。
放課後、俺が屋上に行った時、すでに人が一人だけ居た。
しかもめちゃくちゃ可愛い女の子。相手が誰か理解する前にドキドキしてきた。
「
「あっ、え? 結城さん?」
そこに居たのは予想外の人だった。
同じクラスで可愛いと評判の女子生徒、
話したことはほとんどない、はず。挨拶くらいはしてくれるんだけど、もちろん俺から話しかける勇気なんてないし、もちろん友達なんて言える間柄じゃない。
反射的にイタズラだと思った。結城さんは友達が多くて、男子諸君の憧れで、変人でもない限りは一度は好きになる人だ。多分そうだと思ってる。
少なくとも俺は、一回挨拶されただけでマジで「好きだなー」って思ってた。
その人が俺を呼び出したって? 絶対嘘だ、って思ってる。
普段の感じを見てるとゆるふわだし優しそうなんだけど、友達同士の間じゃ俺みたいな根暗をからかって楽しんでいるのかもしれないと、そこまで考えた。
見た目は全然そんな風に見えないし、なんなら今でもめちゃくちゃ可愛くしか見えなくて「笑われてることすらいいか」と思ってしまっている。我ながら末期だな。
「突然ごめんね。来てくれてありがとう」
「あ、え、いや、全然っ。どうも……」
「好きです。私と付き合ってください」
「……え?」
一瞬、時間が止まったかと思った。
屋上は元々静かで、グラウンドとかに居る生徒の声も異様に遠く聞こえる。
今、なんて言った?
ちょっと意味がわからなかったんだけど……いや、俺が聞いた通りだったとしてもどういう意味なのかはまだわからない。
「なん……ですか? はい?」
「あなたが好きです。嘘じゃありません」
「……ん? え?」
改めて言われるのだけど正直、この状況を受け止められない。
これは現実? それとも夢? 俺の妄想が形にでもなったのか?
そんなわけはないと思うのだが、だったらなぜ俺が本当に結城さんに好きだと言われるのかが本当にわからない。
嘘じゃないって念を押されて、そりゃ嬉しい。多分俺が信じないだろうってこともわかられてるみたいだ。
ただ今の俺は本当にパニックで何も考えられなくなっている。
「えー……結城さん?」
「ゆなって呼んで?」
「えっ。いや無理……」
「そっちの方が距離が縮まると思うの」
「や、そうなんだけど……そうじゃなくて」
俺は今、上手く喋れてるんだろうか?
自分でも情けない声が出てるのがわかった。
「そっか。まだ信じられない?」
「あ、えっと……うん」
結城さんが俺の目の前まで近付いてくる。そして俺の手を握った。
まさか触れられるなんて思わなかった。
柔らかくて小さい手の感触と、ふわっときた香りでドキドキする。正直理由や真相がなんであってももう好きでしかない。
「野上くん。ううん、
「おっ……一生?」
「うん。死んだら同じお墓に入ろうね」
重っ、なんて死んでも言えない。言えるはずがない。
嬉しいんだかなんなんだか自分でもわからなくなって、でも嫌だとも思わなくて、俺は精一杯の笑みを作った。
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