ゴーレム②

 白煙に包まれた研究室。ロフェスは頭を抱えながらゆっくりと起き上がる。


 ススやホコリ、土塊が体のいたる所を汚している。ひどいザマだったが、意外と負傷していないようである。


(ゴーレムが土製だから何とかなった、か……不幸中の幸いだな)


 その時、隣でシスタもむくりと起き上がった。長い髪がちりぢりに焼けて、こちらも悲惨な見た目をしている。


「……びっくりしたっすね」


 無理をしてか、彼女はあえてニカッと笑う。歯に焦げた黒土が引っついて、歯抜けに見える。


「……爆発するなんて、聞いてなかったからな」


「どうします、これ?」


「んー……」


 ロフェスはとりあえず思案顔を作ったが、正直に言って今は何もしたくなかった。


「……逆に聞くが……この部屋、今から片付けようって言ったら、やるか?」


「あー、やんないッす」


 即答だった。


「だよな……」


 ロフェスは申し訳程度に研究室を見回す。まだ煙やチリが立ち込めるなか、彼は言った。


「今日はもう、あれだ……メシ食って寝るぞ」


「ハハハ、ソッスネ」


 ケタケタ笑って答えるシスタと、滅茶苦茶になった研究室を交互に見るロフェス。


 ため息混じりに、一言ぼやく。


「……ダメだこりゃ」

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