貞操逆転世界で美少年に生まれたらビッチになっても仕方ないよね? モテまくりなのを良い事に今世はやりたい放題やらせて貰います。
斜偲泳(ななしの えい)
第1話
この矮は
ある生物においてオスの方がメスに比べてめちゃ小さい現象を指す言葉で、全てがそうではないけれど、矮雄は自立せずメスに寄生して生活する例が多いと言う。
薄ぼんやりと前世の記憶を持つ僕は、それを知ってなるほどなと納得する。
そこまで極端ではないけれど、今世の世界は似た状況にある。
女は大きく男は小さい。
女は強く男はか弱い。
女は多く男は少ない。
女は働き男は全く働かないわけではないけれど全体で見ればオマケみたいな存在だ。
女は可愛く男はもっと可愛い。
この世界の男は女を守って戦う戦士ではなく、女に守られ可愛がられる庇護の対象、あるいは性欲を発散させる為の肉バイブであり生きたセックスシンボルだ。
この状況をよくある貞操逆転世界だと断じてしまうのは簡単だけど、僕はこの世界が矮雄の結果発展したパラレルワールドの一つだと考察する。
馬鹿げた世界だと思うだろうか?
僕はそうは思わない。
矮雄を例に出すまでもなく、自然界では雄と雌の姿形に違いがあるのはよくある事だし、雄より雌が強い事、大きい事、仕事する事(狩りとか)は珍しくもなんともない。
むしろ人間みたいに雄と雌が似通って一対一で番になる方が珍しいのではないかとすら思う。
それでこの世界の人類は生物的には竿役の意味しか持たない少数の雄を大きくタフで性剛の雌達が囲ってハーレムを作り文明を築いた結果、男はただただ女に愛される事にのみ特化した進化を遂げてこのように可愛らしくなったのだろう。
僕の可愛さがそれを証明しているわけじゃない。
あまりにも僕が可愛いので暇つぶしにその理由をスマホ片手につらつら考えていたらそんな仮説にたどり着いたというだけの話だ。
僕の名前は
この貞操逆転世界に生まれ落ちた絶世の美少年(高校一年生)だ。
今僕は電車に乗って学校に向かっている。
降車口の近くに立ち、片手で手摺、もう片方の手でスマホを握っている。
僕の後ろにはスーツを着た冴えないオーラのサラリーウーマンが立っているというか密着している。
Iカップくらいはありそうな、この世界ではそれ程珍しくもない巨大な胸をドタプンと僕の両肩に乗せ、ムチっとしただらしない身体で小さな僕を包み込むようにして降車口に追い詰めている。
「フーッ、フーッ」
頭の上から発情しきった熱い吐息が降り注ぐ。
むんわりと、発情しきったその女の汗ばんだ熱い体臭がホットヨガみたいに僕を蒸している。
僕はミニスカートを履いている。
女装癖とかじゃなくて、この世界ではスカートは男が履く物という事になっている。
ミニスカなのはただの趣味だ。
前世でも僕は男だったのだけど、折角このような世界で超絶美少年に生まれたのだから、郷に入っては郷に従えの精神で可愛いをエンジョイしている。
で、女の手がミニスカートの上から貪るように僕のお尻を撫でまわしている。
というかもう、貪っていると言った方が正しいくらいに激しく僕のお尻を揉みしだいている。
前世の美的感覚で言えば結構可愛い子なんだけど、この世界では精々中の下的な、いかにもブラック企業で使いつぶされてます的なオーラが駄々洩れの、いわゆる弱者女性といった風。
そんな子だからきっと当然処女なのだろう。
本物の男の身体なんか今まで一度も触れたことがなくて、仕事帰りにセクシー男優が出てくるエロい動画でシコり散らかすだけの人生だったのだろう。
それでつい、僕という超絶美少年の無防備過ぎるミニスカ姿にムラムラして、魔が差してしまったらしい。
最初は後ろに立ってそれとなく(バレバレだけど)胸を押し付けたり(前世で言うならチンチンを当てるみたいな感覚かな)スンスンと僕の旋毛の匂いを嗅ぐ程度だったんだけど、そんな事をしても彼女の渇きが満たされる事はなく、むしろ余計にムラムラするだけで、僕が無抵抗なのをいいことにどんどんエスカレートしてこの通りというわけだ。
しまいには、僕の肘に熱っぽくなった股間をグイグイ押し付けて具体的に渇きを癒しにかかっている。
僕は気にせずスマホを弄り続ける。
この世界の普通の男子高校生ならキモくて怖くて半泣きになりながら怯えてショーツにおしっこチビるような状況だろうけど、僕は全く気にならない。
前世の記憶がほんのりある僕は、女の人に痴漢されても嫌な気持ちにはなれない。
ならないんじゃなくて、なれないのだ。
好き嫌いをコントロール出来ないように、快、不愉快をコントロールする事は出来ない。
僕が変態なわけじゃなく、前世の記憶があるが故の必然というか、不可避的というか、そうならざるを得ないのだ。
だからと言って大喜びでチンポをおっ勃てたりなんかもしない。
前世の僕ならともかく、今世の僕の身体はそこまで貪欲じゃない。
この世界の男の身体は前世程ムラムラしない。
しようと思えば出来る程度のコントロール可能な欲求だ。
朝立ちとか精理とか、精神的に感じやすい体質でもなければ人前で意思に反して勃起するなんて事はない。
彼女の事を面白いと思うけど、可愛いなと思うけど、馬鹿だねぇと思っているけど、僕自身はいたって冷静だ。
美形揃いのこの世界の男達の中でも、僕は飛び切り可愛く産まれていた。
そのせいでこの手の事案は慣れっこだ。
今更騒ぐような事じゃないし、その辺も織り込み済みでミニスカートを履いている。
なぜなら僕はビッチだから。
これもまた前世の記憶のせいだろう。
前世持ちの元男がこのような貞操逆転世界で超絶美少年に生まれたらビッチになるのも仕方ない。
前世の記憶のせいで僕は歪んでしまった。
女の人にちやほやされ、エロい目で見られる事に楽しさを感じてしまう。
誰が悪いと言うのなら、前世の記憶を消し忘れた神様が悪いだ。
そんなわけで僕は素知らぬ顔で痴漢される。
この世界の哀れな社畜女性にされるがまま、歪んだ癒しを与え続ける。
彼女がそれを求めていて、僕も別に嫌じゃない。
だったらそれでいいと思う。
でもこの世界の常識はそれを許さない。
前世でも今世でも、男と女の役割が入れ替わったとしても、痴漢は痴漢だ。
それは良くない事でいけない事で、正しい人は見咎める。
あるいは、僕があまりにも美少年だから、痴漢を捕まえる事で僕に良い所を見せようという下心が働いたのかもしれない。
「こいつ痴漢よ!」
高そうなスーツを着た、いかにもモテそうなエリート風のサラリーウーマンが痴漢女の手首を掴んで高く掲げる。
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