504 世界樹のもとから神国へ

 朝、霧が巻いている。いつもと同じ。熱帯号と雪原号とリンがびっくりしている。みんな起きた。熱帯号と雪原号とリンに、里芋の葉っぱの上のコロコロ水を飲んでもらう。美味しいよ。里芋さんも喜んでいるみたいだ。みんなも飲んでいる。世界樹の下の里芋の朝露は大変美味しい。ここでしか飲めない水だ。

 世界樹に朝の挨拶をして、森の恵みをいただいた。


 もう一度世界樹に抱きついて思い思いの会話をしている。

 一段落したから行きますか。

「また来るね」

『待ってるわ』

「みんな挨拶が終わったね。それじゃ行こう。今日は神国に行って、熱帯号、雪原号の人型とリンのお披露目だ。忙しいよ。頑張ろうね」

 里芋畑を抜けてもう一度世界樹に挨拶して泉まで。


 泉で僕とアカとジェナの水筒を引き上げた。そして沐浴。熱帯号と雪原号、リンが人化した。服は世界樹製。

 熱帯号は若い女性。雪原号は若い男性。そうだったの。年齢的にはブランコたちの少し下だね。精悍な美男美女だよ。筋肉質だ。ティランママとティランサンにはまだまだ及ばない。僕の方がとブランコが言っている。よしよし。そうだよ。ブランコの方がはるかに強いよ。リンもキリッとした美女だ。意思が強く粘り強い熟女だ。落ち着いている。秘書にはちょうどいいね。


 三人にはまず狐面を進呈しよう。武器は色々見せて何がいいと聞いたら、熱帯号は薙刀、雪原号は棍棒がいいんだと。力任せに振り回すのがいいのだろう。リンはオーソドックスにショートソードを選んだ。お狐さん?武器はいらないけど人型になった時懐剣くらいはいるか。


 じゃあ各人に作ってやろう。熱帯号には薙刀とショートソード、雪原号には棍棒とハルバート、リンにはショートソードとロングソード。お狐さんには懐剣と無刃棒剣だ。懐剣と無刃棒剣にはシン金属でお狐さんと観察ちゃんを作り、懐剣の鞘と無刃棒剣に埋め込んだ。綺麗だ。


「薙刀とハルバートはエスポーサに、ロングソードはマリアさん、ショートソードはステファニーさんに暇を見て習ってね。棍棒は自分で練習してね」

 みんな手にして振っている。しっくりしているようだ。それはそうだ。いわば特注品だからね。ナイフもみんなにあげた。お狐さんは使わないだろう。収納の肥やしだ。


「さあ、次は果樹園から野菜畑、穀物畑、岩塩畑を一周しよう。十分収納してね」

 果樹などの注意は熱帯号、雪原号、リンには世界樹から説明が行っているので大丈夫だ。

 森の恵みを収納して、河原、竹林を経て、巨樹の森から出る寸前の川まで行って水筒を引き上げる。熱帯号、雪原号、リンに渡す。フロランスちゃんとリオンちゃんにはまだいいか。でも一応渡しておこう。


 巨樹の森を出る。一気に生き物の息吹を感じる。蟻がまた増えたと言っている。よく見ているね。さて忙しい。崖際まで転移して、飛び降りる。一応僕とアカとエスポーサが最後だ。熱帯号、雪原号、リンも躊躇なく飛び降りた。

 みんなうまく着地した。僕たちも飛び降りて、熱帯号、雪原号、リンにこのあたりから魔の森の泉までティランママとティランサンの縄張りだと教えておいた。


 魔の森の泉に到着。熱帯号、雪原号、リンに泉から引き上げた竹水筒を渡す。ついでに16木乃伊の泉の水の竹水筒も渡す。かなり強行軍だった。お昼にしよう。シートを出して座ってお昼。ジェナとチルドレンは疲れたらしくすぐ寝てしまった。みんなも思い思いに休んでいる。


 二百人衆に新たな眷属を連れていくから昼が終わったら泉の広場に集まっていてと連絡した。エチゼンヤ夫妻とゴードンさんにその時間神国に来てもらうように連絡した。観察ちゃんが転移で連れて来てくれるだろう。


 熱帯号と雪原号の人型の名前は何にしようか。熱帯号はジュビア、雪原号はアイスマンでいいか。お手軽な名前だけどね。

 しばらくするとジェナとチルドレンが起きた。シートを片付ける。

「熱帯号と雪原号の人型時の名前を考えた。熱帯号はジュビア、雪原号はアイスマンでどう?」

 本人たちはいいと言っている。みんなも異論はないね。

「それじゃ、人型の時はジュビアとアイスマンと名乗ってね。リンは同じだ」

「いいかな。神国に転移するよ」

 神国に転移した。


 神様モードだからね。みんな跪く。

「みんなよく集まってくれた。まず紹介しよう。すでに熱帯号と雪原号はみな知っていると思うが、世界樹の元に行って人型になれるようになった。男性が雪原号で人型の時はアイスマン、女性は熱帯号で同じくジュビアと名乗る。主にジェナとチルドレンの面倒を見てもらう。それから、二百人衆の故郷に行ったところ、大きい黒猫のリンが国の宝を守っていた。これだ」

 ステファニーさんとマリアさんがティアラを僕がクラウンをかぶった。

 二百人衆からオーと歓喜の声と涙が溢れる。


 しばらくして、代表が発言した。

「我ら一同、これからもシン様、アカ様、ステファニー様、マリア様、眷属様に誠心誠意仕えさせていただきます。我らの神様、我らの王のシン様のどのようなご下命であろうとも全身全霊をもって遂行させていただきます」

 二百人衆の王になってしまったようだ。神と王だから最強だな。困ったな。

 いいじゃないとアカが言っています。

「わかった。頼む」

 オー。

 今度は歓喜の声だ。


 しばらく待って続ける。

「このクラウンとティアラを守ってくれていたリンだ。いつもは黒猫の形をしているが、世界樹が人型になれるようにしてくださった。新大陸から帰ったら主にステファニーさん、マリアさん、エスポーサの秘書をしてもらう。よろしく」

 オー。

 今度は承知の返事だ。

「では解散する。今日明日はこちらで過ごし、明後日からまた新大陸に行くのでよろしく」


 リンとステファニーさん、マリアさんが二百人衆と話をしている。そうだろうね。リンには積もる話もあるだろう。熱帯号と雪原号も捕まっている。

 声をかけておこう。

「ゆっくり話をしておいで」

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