503 世界樹のもとで
朝になって、さて今日は忙しい。
オリメさんとアヤメさんに連絡、世界樹のところに行くけど行く?ときいたら行きますと即答だ。プリメーロ、プリメーラ、フロランスちゃん、リオンちゃんを連れて魔の森の泉まで観察ちゃんと転移しておいてもらうことにした。
ティランママにも連絡しておいた。
観察ちゃんに新大陸に付いて来たエリザベスさんをスパエチゼンヤまで、アンナさんをエチゼンヤ支店まで送ってもらった。もっと旅したいようだったけど、ローコーさんの先祖が来た大陸を見られたからいいだろう。お狐さんは、帰らずそのまま一緒だ。
エリザベスさん達を送った観察ちゃんが帰ってきて一緒に魔の森の泉に転移。すでにみんな来ていた。
ジェナが熱帯号と雪原号を迎えに行ってすぐ戻ってきた。泉に水筒を沈めておいて台地の崖下に転移。ティランママとティランサンと合流。
みんなで崖登りだ。リンもすいすい登る。空気が薄くなっても大丈夫だ。熱帯号と雪原号ももちろんすいすい登る。全員台地の上に出た。
今日は急いで行こう。巨樹の森の境まで転移。
「ここからは世界樹に認められたものしか中に入れない。熱帯号と雪原号、リンは少し体の構成を世界樹が変えるけどいいかい?」
もちろん良いそうだ。
一呼吸おいてみんなで巨樹の森に入る。初めての熱帯号と雪原号、リンは不思議な顔をしている。抵抗ある膜を通り抜ける感じがしたのだろう。それに一気に生き物の気配がなくなり静謐な世界に入ってびっくりしている。
「よし、みんな入れたね。ここからは巨樹の森という。まず川に行こう」
川に行って竹水筒を沈めておく。
次は竹林と河原だ。駆け足をしていく。
よし。竹林だ。趣味の竹水筒作りだ。
「みんなは河原で遊んでいてね。水筒を作り終わったらお昼にしよう」
竹水筒をまたいくつも作った。なかなかおもしろいのでね。
河原に降りて、石をスパッと相棒で切ってテーブルにして昼食。シートを出して休憩後、すぐ果樹園、野菜畑、穀物畑、岩塩畑を巡る。岩塩があるところは畑とは違うのではないかと思うけど、畑にしておこう。熱帯号、雪原号、リンは初めてだから、ジェナとチルドレン、ステファニーさん、マリアさんがついて教えている。一周した。
次は泉だ。みんな沐浴した。人化出来る人は人化した。今回はお狐さんも人化した。可愛い女の子だ。抱っこしてやる。ジェナはおかたんに抱っこしてもらっているから問題はない。
問題があった。ドラちゃんとドラニちゃんだ。抱っこしてやる。僕大人だから三人抱っこだ。
みんないい子だよ。よしよし。
泉の水はすぐ澄むので僕とアカ、ジェナの水筒を沈めておく。
「さて里芋畑まで行くよ」
すぐ着いた。また来たよ。少しちょうだいねと言って里芋をいつものように少しもらう。もらったら世界樹と対面だ。
みんな走って行って世界樹に抱きつく。
『良く来たわね。私の可愛い子たち』
『雪原号と熱帯号、リンは初めてだったわね。みんな人化出来るようにしてあげようね。雪原号と熱帯号はジェナとチルドレンを支えてね。ジェナは小さい。力は強いが、お昼寝やおやつ休憩もしなければならないから支えが必要なのよ。チルドレンも同じよ。リンは大陸から帰ったら神国の秘書をやりなさい。神国は、ステファニー、マリア、エスポーサで回している。みんな優秀でよくやっているけど、仕事が増えて秘書が必要だったからちょうどよかったわ。ティランママとティランサンは崖下と魔の森の泉を守ってね。ブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃん、オリメ、アヤメは今の役目を続けてね。ブランコはいつも先頭で頑張っているわね。エスポーサは眷属の中で群を抜いて強いからみんなを見てね。管理職もよくやっているわ。ドラちゃん、ドラニちゃんはよくシンの面倒を見てくれてありがとう。オリメとアヤメはなかなかセンスがいいわよ。縫い子をまとめてよくやっているわ。お狐さんはイヅル国でみんなのお狐さんでいてね。なにかあれば観察ちゃんがシンに連絡するなりしてなんとかするわ。観察ちゃんも今まで通りシンの目と耳になってね。チルドレンはジェナの遊び相手になってね。そしてみんなシンを支えてね』
なるほどさすが世界樹さんだ。そうか。そうだよね。雪原号と熱帯号がジェナとチルドレンを見てくれれば助かるし、確かに所帯が大きくなったから秘書は必要だ。崖下と魔の森の泉の番人も必要だ。みんな適材適所で収まるところに収まった。
それにしても世界樹は眷属の中でエスポーサが群を抜いて強いとサラッと言ったぞ。ブランコより強いと言うことだけど、ブランコは嬉しそうだ。やっぱりブランコは大物だ。
世界樹に認められてみんな嬉しそう。
僕はお飾り神。えへへへ。
『責任者はシンとアカよ』
みんな頷いている。僕責任者。アカに任せておこう。アカはしょうがないという顔をしている。ありがとうね。アカ大好き。
世界樹のもとで森の恵みをいただいてそのまま横になる。
今日も星空が綺麗だ。
明日はみんなで一度神国に戻ろう。リンの紹介もあるし、熱帯号と雪原号の人型の紹介もある。そうしよう。
いつも通りドラちゃんとドラニちゃんはお腹の上、お狐さんは今日は胸の上だ。三人は人化を解いている。右はアカ、左はマリアさん。あとは人型だからいつもの定位置ではない。好きな位置で寝ている。
ステファニーさんとマリアさんの間で二人に抱きつかれているリンが話しかけて来た。
『帝国軍が国境を越えて侵略して来たと一報が入った時、王様はすぐ私に箱を三つくくりつけました。私は王様に三つの箱をどこかに隠してステファニー様かマリア様が取りに来るまで守ってくれと頼まれました。私はすぐ山奥に入り箱を隠しました。私のことはだれも見ていません。王様も隠したところを知らない。たとえ誰が捕えられても宝はどこにあるかわからない。そのように王様はしました。帝国軍は宝があってもなくても、国が狭いので領土を拡張したく、我が国を全て破壊、隣の友好国まで攻めて行きました。友好国は結局最後には滅ぼされました。帝国軍が当初の目的を達したころ、戦争が長期に渡り、戦費が嵩んだので、帝国の不満分子が帝国で反乱を起こしました。帝国軍が急ぎ戻り内戦となり結局帝国中が全て戦場となり破壊され帝国軍と反乱軍が相打ちになり帝国は滅びました。帝国と我が国と我が国の友好国の3国が滅びました。それから私は箱を山奥から宮殿の跡に運んで深く穴を掘って埋めて、ずっと待っていました。王様も王妃様も私を可愛がってくれていた侍女さんもみんないなくなってしまいましたが、私はステファニー王女様かマリア王女様が帰ってくると信じてずっと待っていました。今日は二人が旦那様を連れて帰ってこられ役目を果たせて本当に嬉しかった』
マリアさんとステファニーさんが忍び泣いている。
『これから二人のそばにいて仕えてね。今度は先が長いからね。十分仕えられるよ』
『はい。ありがとうございます』
リンも泣いているようだ。色々思い出しているのだろう。
観察ちゃんは今日も天体観測が忙しい。そうこうしているうちに寝てしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます