俺のことが嫌いな後輩がやさしく癒してくれる夢のような夢。

針間有年

Track.1:<現実>ツンツン後輩といつもの部室。

〇登場人物

・後輩……語り手

・先輩……リスナー


//高校・文芸部の部室を後輩が開く。

//後輩は終始素っ気ない口調。


お疲れさまです。


また先輩だけですか。

いくら幽霊部員が多いと言えどもこれはひどいですね。


文芸部存続の危機です。


それに、先輩と二人きりなんて。


はぁ……。//後輩のため息。


まあ、静かに執筆できるところは悪くないんですけどね。


//後輩、椅子に座り、鞄からスマホを取り出す。

//スマホで執筆している。


え?

ああ。


確かにスマホになってから執筆は捗ってます。


その件はちゃんと感謝してますよ。


部活中のスマホ使用の許可。

まさか、先輩が先生にまで掛け合ってくれるとは思いませんでした。


助かりました。

流石に手書きは進みが遅かったですからね。


先輩はどうなんですか?

執筆、進んでます?


はぁ……。//後輩のため息。


私と無駄話をしている場合じゃないでしょう。


原稿、落とさないでくださいよ。

部誌出せなくなるんで。


……。//先輩の目の下のくまに気付き様子をじっと見る。


先輩目の下にくま、できてますね。


お疲れですか?


へぇ、先輩でも疲れるんですね。

ご愁傷様です。


寝不足、ねぇ。


……。//夢の話を切り出すか迷っている。


……先輩って夢、見ますか?


ええ、寝る時に見る夢です。


ふぅん……。


先輩。

もし、好きな夢を見れるとしたら、どんな夢を見たいですか?


別に。

ただの世間話ですよ。


で、どうなんです?


ハーレムね。


は?

ハーレム?


最低。


はい、これは軽蔑の眼差しです。

反省してください。


今さら言い直しても遅いです。


でも、なるほど。

癒しですか。


まあ、お疲れ気味のようなので癒されたくもなるでしょう。


……先輩、今日は早く寝てくださいね。


なぜって?

お疲れなんでしょう?


原稿落とされたら困りますし。


それに、今晩はきっと夢を見れるでしょうから。


//後輩、素っ気ないながらも押しを強める。


日付が変わる前に寝てください。

いいですね?


約束してください。


//後輩、素っ気ない普通の態度に戻る。


よし。


約束は必ず守ってくださいね。


……上手くいけばいいなぁ。//先輩に聞こえないような小声。


なんでもありません。


それでは執筆を始めます。

もう話かけないでくださいね。


≪To be continued.≫

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