【No.017】自称学園一の美貌を誇る僕の先輩がなんか言ってたのでいっぺん調べてみたのだ
「も゛~っ、誰も彼も名前が似すぎっ!」
「どうしたんですか先輩、またしても部室に来るなり変な声出して。学園一の美貌
「だってだって、あたしの匿名将棋トーナメント企画に集まったキャラクター達が似たような名前ばっかりでっ」
「ちょっと待ってください、初見の単語で普通に
「将棋物の短編小説を集めて匿名コンやりながら、そのキャラクター達を使ったトーナメント仕立てのコラボ小説を主催者のあたし自ら執筆するのよっ。勝敗は各作品の描写からざっくり棋力を判定してAI同士で対局させて決めるわっ」
「エグっ……。そんなの『史上最強の天才棋士』みたいなキャラ書いた人が有利すぎじゃないですか」
「別にトーナメントで優勝したからって何があるわけでもないし、有利も不利もないわよ。棋力の低いキャラにはそれはそれで見せ場を作るしっ」
「……まあ、今さら『そんな小説イベントなんかに血道を上げてないで将棋の勉強したらどうですか』なんて言って聞く人じゃないのは分かってますし、どうでもいいですけど。それで何が問題ですって? 参加者数?」
「それは十分集まったわ、アマギフで釣ったもの」
「うっわ……。すみません先輩、知り合いだと思われたくないので退部していいですか」
「いいって言うわけないでしょ!? あたしがアナタを
「卒業しても部室に来るつもりですか?」
「それまでに一回くらい勝つわよ! じゃなくて、今はこっち、匿名トーナメントの話っ!」
「あー、えーと、キャラの名前が似すぎでしたっけ?」
「ちゃんと聞いてたんじゃないの」
「そろそろ話進めないと終わらないんで……。まあ、こないだも先輩言ってましたもんね、将棋物の登場人物における『駒の名前が名前に入っている率』は異常とか……」
「そう、そう、そうなのよっ。だって見て、十六作の中に三人も名字・
「それは逆によくそんなに被りましたね……カツラだけに……」
「下の名前・
「『盤上の
「それでもって、この世界に女子の名前はカオリちゃんとアユミちゃんしか存在しないわけ!?」
「そりゃ女の子に金だの玉だのは使いづらいでしょう。
「桂馬はもういいんだって!」
「まあいいんじゃないですか、先輩のしょーもない企画は敢えての同名対決を目玉にしとけば」
「しょーもない!? 今しょーもない企画って言った!?」
「まあ、でも、確かに定番というか黄金パターンなんですよね、将棋物のキャラに駒の名前を付けるの。あれからちょっと調べてみたんですが」
「調べてみたの!?」
「漫画だと、『駒が舞う』
「多い多いっ! 何そのスラスラ出てくるデータベース!?」
「棋譜を覚えるのに比べたら別に……。あと、ご存知『月下の棋士』の
「にしても、並べてみると本っ当に桂馬と香車と
「まあ、女の子に金だの玉だのは使いづらいでしょうしね」
「なんでそれ二回言ったの!?」
「まだ
「ストップストップ、もういいからっ。どうでもいいけど、時代小説とミステリーとラノベとライト文芸をそんな風にゴチャ混ぜに並べる人初めて見たわ……」
「大きく小説という括りで刊行順ですが……」
「ってか、やっぱり小説の方でも
「サブキャラまで目を向ければ
「そういえばコナンでもあったわね、登場人物が駒の名前ばっかりの事件」
「何なら世代の人にとっては『フィクションにおける将棋モチーフの名前』に初めて触れた例がそれかもしれないですね」
「なんにしても、商業作品でもそんな感じなら、もう諦めて受け入れるしかないのかしら」
「いっそ、将棋系ネーム
「何それ?」
「将棋の駒の名前を入れながら、誰も聞いたことのない独創的なキャラ名を作った人が優勝という」
「それもう小説のイベントでも何でもないじゃないの」
「いや、あくまで短編は書くんですよ。その中で将棋系キラキラネームを出した人が勝ち」
「作品への評価は!?」
「いいじゃないですか、ちょうど匿名コンに付き物の『序盤の作品にばっかり票が集まる問題』もクリアできますよ。イタノーベル
「それノーベル要素どこにあるのよ」
「ということで、僕こと
「なんでよ! ってか今更だけど何なのよアナタの名前!」
「おや、どうしたんですか
「ぬぬっ……!
「何か上手いこと言おうとして何も言えてませんよ。じゃあハイ、そっちの話が一段落したところで、そろそろ指しますか」
「今日こそ桂香ちゃんが泣かせてやるっ」
「せいぜい頑張ってくださいね」
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