第12話 忘れられない風景

村での穏やかな夜を過ごした翌朝、ハルトとレニは、早起きして村の周囲を散歩することにした。澄んだ空気に包まれた朝、彼らはまた新たな景色を楽しむことを期待しながら、川沿いの道を歩いていた。


「朝の光って、こんなに柔らかくて心地いいんですね…」レニは空を見上げ、穏やかな笑顔を浮かべた。


「本当に。こうして静かな時間を過ごせるのって贅沢だよな。レニもリフレッシュできてる?」ハルトが彼女の顔を見て尋ねる。


「はい。なんだか心が軽くなった気がします。ここに来て、今まで気づけなかったことが見えてきた気がして…」


レニは、自分が日常の中で感じていた不安や心配が、ここでは少しずつ消えていくのを感じていた。自然の中に身を置くことで、彼女の心はリセットされ、今この瞬間を純粋に楽しむことができていた。


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二人が歩いていると、ふと小さな丘の上に古い神社が見えてきた。


「ちょっと寄ってみようか?」ハルトが提案すると、レニは頷き、二人はその神社へと向かった。


石段をゆっくりと登り、神社にたどり着くと、そこからは村全体が見渡せる広々とした風景が広がっていた。木々の間から差し込む朝の光が、柔らかな色彩で村を包んでいる。


「すごい…こんなに美しい場所があったなんて。」レニは驚いたように風景を眺め、しばらくその場に立ち尽くしていた。


ハルトもまた、その景色に目を奪われていた。「本当に、言葉が出ないくらい綺麗だね。」


二人は静かに風景を楽しみながら、それぞれの心の中で何かが解放されていくのを感じていた。レニは、この場所で感じた穏やかさと美しさを、いつか絵に描きたいと思いながら、その瞬間を胸に刻んだ。


「レニ、今度この景色を絵に描いてみたらどう?」ハルトがふいに提案した。


レニはその言葉に少し驚いたが、すぐに笑顔で頷いた。「そうですね。きっと、この景色は忘れられないものになると思います。だから、絵にして残しておきたいです。」


「俺も、レニの描くこの景色を楽しみにしてるよ。」ハルトは優しく言い、彼女を見つめた。


レニはその言葉に励まされ、さらに強い決意を持った。この景色は、自分にとって新たな一歩を踏み出すための大切な記憶となるだろう。そして、それを形にすることが、彼女自身にとっての新しい挑戦になる。


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その後、二人は神社で少し休み、村へ戻ることにした。道中、ハルトは静かにレニに語りかけた。


「こうしていろんな景色を見ていると、自分がもっと広い世界を知らないと感じることがあるんだ。俺も、もっといろんな場所に行って、いろんなことを体験してみたいって思うようになった。」


「私も、ハルトさんと一緒にそういう場所に行けたらいいなって思っています。今までは怖くて、外に出ること自体が不安でした。でも、こうして少しずつ自分を変えていけるって実感できているんです。」


レニのその言葉に、ハルトは微笑んで頷いた。「そうだね、少しずつでいいんだよ。無理に変わろうとしなくても、自然と前に進んでいけるんだってこと、レニが教えてくれた気がするよ。」


「ハルトさんがいてくれるから、私は進むことができるんです。」レニは感謝の気持ちを込めてハルトを見つめた。


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二人はその後も村でゆっくりと過ごし、夕方には駅に向かって帰路についた。帰りの電車の中でも、二人は旅の思い出やこれからのことについて話し続けた。ハルトとレニの心は、これからの新しい冒険に向けて希望で満たされていた。


「これからも、いろんな場所に行きましょう。」レニが静かに言った。


「もちろん。これからも、二人で一緒に。」ハルトは力強く応じた。


この旅で得た美しい風景と、心の解放感。そして二人の間に生まれた新たな決意。それは、これからの未来をさらに輝かせるための大切な一歩だった。


彼らは手を取り合いながら、今までとは違う新しい自分たちを信じて、未来に向かって歩んでいく準備が整っていた。

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