魔王様は遊び足りない。
おとのり
果ては魔王か神様か
プロローグ
意識朦朧。
いや。混濁?
考えるのも面倒臭い。
さっきまで映画を鑑賞していたはずだが、焦点の定まらない視界に世界は歪んで見える。超大作のパニック映画。飛び切りB級な完成度に満足度も高かった。酷い内容に精神が蝕まれたということもないはずだが、周囲からは変なうめき声や衝突音らしきものが聞こえてくるだけだ。
辛うじて認識できる範囲で薄っすらと思ったのは、目の前に広がっている光景がさっきまで観ていたパニック映画のゾンビが跋扈する世界にそっくりだなというものだった。
うめき声を出しているのは、俺か?
俺もゾンビになっているのか?
ズルズルと足を引きずるように移動しているらしいが、どこに向かっているのか自分でもわからない。
ただ、頭の中に膨大な量の情報が流れ込んでいるような、自分の体が何者かによって上書きされているような妙な感覚。
こうなる直前、頭の中にアナウンスが流れてきた気もするが思い出せない。
そのままズルズルと訳も分からぬまま移動している時だった。
ふいに体に衝撃が走り、吹き飛ばされる。
同時にパッと靄が晴れたように意識が正常なものに切り替わった感覚があった。
「トラック?」
白い軽トラック。
すでにアチコチぶつかってきたのだろう。車体はどこもかしこも傷だらけでバンパーも外れかかっている。
俺にぶつかった所がどこかなのかもわからぬほど前面はボコボコだ。
運転席の男性がチラリと見えたが、俺と同じように意識があるのかないのかハッキリしない雰囲気だった。
そして、そこで意識は暗転する。
完全にシャットダウンする中、再び頭の中にアナウンスが響いた気がした。
『予期せぬエラーが発生しました。これにより、アカシックレコードとの接続を停止します。また、緊急処置としていくつかの権限を凍け……』
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